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「ご心配なく。当店は、ご利用中は時間が全く進みません。止まっている状態なのです。」
私がそう言うと、まだ全て理解できていないような顔をしていた。
「そう、なんですか…?」
女性が不安げに聞き、私は頷いた。
「怪しい店ではありませんよ。外に出ていただければ、自ずと分かります。出てみますか?」
私が提案すると2人は頷いた。
入口まで案内し、ドアを開ける。チリリン、とドアベルが鳴る。
2人が来た時刻は、午後4時。本来なら、オーダーのメニューを作っている時間を入れて、空が暗くなっていても不思議じゃない。
しかし、外は夕焼けのままだった。
「……本当に時間が経ってないんですね。」
男性が納得したように言い、女性も納得したように頷いた。
「それでは、中に入りましょう。」
私が促すと2人は頷いて中に入った。座っていたテーブル席に戻る。
「納得がいくまで、話し合えるといいですね。」
そう言うと、2人は会釈した。
私は席を外し、店の奥へ向かい、さっきのメニューの後片付けをした。
それが終わると、いつものようにメモを手に取った。花言葉やお客様の名前を書きとめるためだ。
(今は少し様子を見ることにしましょう。)
カウンターで2人の様子をちらりと見たあとにそう思った。
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