エピローグ〜ある人物の悩み〜

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「昔から、よく生きづらさや人間関係の悩みに苛まれてきていたからでしょうか。人の痛みにしっかりと寄り添える、そんな居心地が良く安心できる場所を提供したいと思ったのが始まりです。」 彼は話し続けた。 「理想論かもしれませんが、誰かが孤独な人の気持ちに寄り添い、受け容れてあげることができれば、自殺を図って人身事故を引き起こす、または飛び降り自殺などの悲惨なことは起こらないで済むのではないかと思うのです。」 「この店が、心の底から悩み、苦しむ人たちの希望や小さな光になってくれたらと思い、カフェ兼相談所を開いたのです。」 三森店主は穏やかに言った。 それと同時に意志の強さを感じさせた。 彼はこちらを見て、ふわりと微笑むと「お客様はどのようなことでお悩みなのですか?」と訊ねた。 私は口ごもった。しかし、ここでなら悩みを打ち明けられると思った。
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