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「えっと…。そう、ですね…。なかなか友達ができなくて悩んでます。」
彼は少し戸惑いながらも打ち明けてくれた。
「そうですか。そういえば、今月は新生活がスタートする時期ですね。1年生なんですか?」
「いえ。大学2年です。ただ、友達や親友と呼べるような人が一人もいないんです。」
彼は、俯いてカウンターの机を見つめた。
ちょうどその時、お湯が沸いた。
私はティーカップに1度お湯を注ぎ、薬缶にそれを戻すと、カップの縁にお皿を置いて蓋をした。
そうすると、温かい状態で紅茶を出せるのだ。
そのあとに茶葉を入れたポットにお湯を注ぐ。
店内に、カモミールの香りが充ち渡った。
ポットに蓋をして2、3分蒸らす。
蒸らし終わったら、お皿をカップの下に戻し紅茶を注いだ。
「ご注文のカモミールティーでございます。」
お好みで付け足せるように、三温糖、蜂蜜、ミルクを添えて、ティースプーンとティーセットをカウンターに置いた。
「…ありがとうございます。」
彼はそう言って小さく会釈した。
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