12人が本棚に入れています
本棚に追加
「…僕、いつも人と話すとき緊張してしまうんです。滑舌のことで何か言われるんじゃないか、笑われるんじゃないかって。だから、友達づくりも上手くいかないんです………。」
彼は、ぽつりぽつりと悩みの種の原因を話した。
私はその話を聞いたあと、じっくりと噛みしめるように深く頷いた。
「そうだったのですね。私は、お客様のその喋り方は個性があると思います。ほかの人には無い、貴方だけの個性なのではないでしょうか?」
それを聞いた彼は、目を丸くした。
「僕だけの、個性……。」
「えぇ。ところで、お客様は緊張をほぐして人と話し合いたいと思っているのではないですか?」
そう聞くと、彼はこくりと頷いた。
「どうして分かったんですか?」
「カモミールティーをご注文になられたでしょう?この紅茶は緊張や疲れを取りたい方が、よく頼むメニューなんですよ。」
私はそう言って微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!