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それこそこんなことを考えているまさに今この時も、僕は自室のベッドに足を投げ出しながら星空を見上げ苦々しく顔を歪めている。
嫌なら見なければいいと、言われてしまえばその通りではあるのだが、そういう見たくないものほど目に入ってしまう。目を向けようとしてしまう。そしてそういうものほど嫌に鮮明に見えるものだ。
意識し過ぎるが故なのか、自分が嫌だと思うことほどあえて飛び込む癖でもあるのか分からないが我ながら迷惑なものだ。
自嘲気味な笑みを浮かべながら、いつものように浮上してきた嫌な記憶をいつものように心の奥底に押し返していると、不意にスマホの着信音が流れた。
ベッド脇に置かれている時計はいつもの時間を示している。電話の相手は確認するまでもない。
僕は沸き出し纏わりついてくる記憶を無理やりに押し込めると、一つ深呼吸する。そして僕の傍ら、ベッドの上に適当に放っておいた着信音が鳴り響いているスマホを掴み取ると、ろくに相手も見ず画面を指でスライドさせ「もしもし?」と耳に当てた。
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