サント・マルスと混沌の邪神ー ゴンドワシア編ー

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「そう言えば・・・この大陸のすぐ南に島があったよな。ク、クレ ・・・ナントカって。」 「クレア島か・・・。」 「確か。そのクレア島とか言う島に、今はメセトハプラという国が待機 してるんだってな。そこって、どんな島なんだ?。」 「クレア島自体は様々な人種が住み着いたり去っていったり、滅ぼされたりと 固定した住民はいない。だが、その側に地図にも載らない小さな島があって、 そこには不思議な民族が住んでいると聞いたことがある。島の名は確か ・・・メルクーアといったかと。」 「メル・・・ク、ーア?。」 「そうだ。そして、その他にも島はいくつかあって・・・。」 「・・・だめだ、頭こんがらかりそうだもう、訳分からん・・・。」 ユーリウスは頭を抱えた。 「私の知識を与えよう。今まで私が現世で成し遂げてきた偉業の数々、いわば 『オリエンタポリス神話』だ。それと、・・・精霊アラトゥーザ。この者達を 手伝ってやってくれ。」「分かった。」 精霊アラトゥーザはユーリウスの側にやって来た。オリエンタポリスは ユーリウスの額に人差し指と中指を立て、念を送った。 「これで、このデルシャ建国の歴史とこの地域の全てが理解できるように なったはず。なんとか、メセトハプラを押さえて、来るべき日の為に役立てて 欲しい。」 オリエンタポリスはそう言うと、静かに姿を消した。  「クレア島ではメセトハプラ軍が待機しているわけだろう。何時侵攻して くるか分からないのか?。」 「恐らくこちらの出方を見ているのだろう。」 「けど、ここはクレア島からかなり距離がある。とはいえ、デルシャの軍隊は どうなってんだ?。もう出発してるのか?。」 「いや・・・まだだ。というのも、メセトハプラ軍はデルシャ軍がクレア島 まで出てくるのを待っているんだ。」 「なんでそんな・・・。悠長な。」 「メセトハプラという国は海洋王国なんだ。海での戦いは強い。その為、この イズラマ海の海岸線のゴンドワシア側の国は殆どメセトハプラが支配して いる。」 「・・・それって、逆に言えば海での戦いは強いが、陸での戦いはどうかって 事だな。」 「それも考えたのだが・・・。だが、メセトハプラの軍はそれを上回る国力を 誇っているらしい。」 「いや、だとしても陸での戦いに自信が無いのだから海の上で待機して るんじゃないかと思う。だとしたらなんとか陸におびき寄せて陸戦で メセトハプラに説教するしかないか。」 「・・・説教か・・・。」 「ゴンドワシアの大陸神と太陽神ラー。・・・待機しているやつらを出し 抜いてメセトハプラ本国に乗り込めればな・・・。」 ユーリウスはふと思い出した。 「アラトゥーザ。」「なに?。」アラトゥーザはユーリウスの髪の毛の間から 出てきた。 「オリエンタポリス神話に出てきた『天空の船』ってのについて詳しく 知りたいんだが・・・。」 「『天空の船』か、残念だけど、今は何処にあるか分からないよ。もともと デルシャの物じゃなかったし。」 「仕方が無い。他の方法を考えるか。」  とは言え、何か思いつくかというと簡単に思いつくはずもない。イズラマ 海の地図を穴の開くほど見つめながら独り言を呟く。 「このイズラマ海を飛び越える手立てが他にあれば・・・。」  突然部屋をノックする者がいる。 「・・・誰だ?。」 「ユーリウス!!。お前がここに来てると・・・。」 「お、親父、何でここに。」 ユーリウスはゲルマンを部屋に通し、これまでの事を手身近に話した。 「チヘンネも心配していたからな。」「そうかな、とは思ったけど。」 「ところで、・・・まさか戦争になりそうなのか?。」 「ああ、一触即発ってトコだ。」「よりによってこんな時期か・・・。」 「・・・そこでなんだが・・・イズラマ海を越えてゴンドワシア大陸へ行く 方法って何かないかと・・・。」 「ゴンドワシアに!?。」「うん・・・。」「ゴンドワシアか・・・。」 ゲルマンは腕組みをして考え込んでいる。
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