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「噴火活動は始まっている。私が予想したよりも活動はかなり大きい。」
「し・・・島は元に戻るのか?。」長老が不安そうに尋ねた。「分からん。」
暫く、沈黙が流れた。
「俺が様子を見てくる。ユーラント、頼んでいいか?。」
「分かった、だが、近くまでは行けんぞ。」「分かってるって。」
「よし、じゃあ俺も。」「俺も着いて行く。」
「じゃあさ、みんなで行こうよ。」アラトゥーザがユーリウスの髪の毛の
中から顔を出した。
「しかし・・・オルケルタは・・・。」ゲルマンが躊躇う。
「お義父さま。お願いします。私も一緒に着いて行きたい。」
「だがな・・・。」
「親父、オルケルタも頑張っているんだ。俺もついているし、大丈夫だ。」
「そうか、それなら何も言わん。気をつけてな。」
ユーラントの転送魔法で戻ってきたユーリウス達。水晶玉で島の様子を
窺う。
「女神メルクーアはこの火山活動は惑星エーアデの意志によるものだと
言っていた。生命の存続を願う惑星エーアデがこのメルクーアを人が
住めない島にしてしまうとは思えない。」
「・・・と、いう事は・・・火山活動はそれ程激しくはないって事か?。」
ジルカメスが訊ねる。
「それは分からない。仮に、火山活動が激しくても、人が住むには影響は
ないとは思う。だが、それがいつ終結し、元の姿に戻れるか、だ。
もしかしたら、何年先、或いは何十年先の話になるかもしれない。」
「・・・じゃ、じゃあ、メルクーアの人々は、自分の島へ帰れないかも
しれないって言うのかよ。」
「俺は、そういう可能性もある、って事を言いたいだけだ。」
「そんな、それじゃああんまりじゃないか。」
「確かにな。けど、それが惑星エーアデが定めた運命、だとしたら・・・。」
「運命だなんて、簡単に決めつけるなよ!!。」
「俺だってそう思いたくない。けど、これが、惑星エーアデが与えた運命と
いう名の試練だとしたら・・・。この試練に耐えられるだけの人間を必要と
しているのかもしれないとしたら。」
「・・・弱いものは生き残るなって事かよ。」
「以前話した通り、惑星エーアデは強き生命を持つ者の生命エネルギーを
必要としている。そうなれば弱きものは生き残れない。」
「・・・そんな事って・・・。」
「惑星エーアデはこの世界で勝てる生命を欲しているんだ。それは全て、闇が
世界の全てを飲み込むのを阻止する為。」
「そいつは分ってる。けどさ・・・。」
「それが、現実なんだ。メルクーアの人々、いや、この惑星エーアデに
住まう者は惑星エーアデが定めた運命を受け入れていくしかない。」
ジルカメスはもう何も言えなかった。そしてやっと言葉を絞り出した。
「祈るしかないって事なのかよ。」
「我々が今できる事は、惑星エーアデに生を受けた生命全ての生命力を信じる
事だ。」「・・・信じる、か。」
「俺はこの世界の生命全ては惑星エーアデが与えた運命によって生かされて
いると思っている。そして、その運命に逆らう事はできない。例え逆らったと
してもそこから逃れる事はできない。嘗て大陸神ティマイオスは俺を『世界で
唯一の血を持つ者』と言った。それは結界によって封印された世界で
あるはずのアトラテックと異大陸間との混血であるという意味だ。それは
運命によって、出会えるはずのない両親が出会い、俺が生まれたという
事実だ。もし、エーアデが定めた運命に逆らえば、俺は自分自身の存在を否定
する事になる。それはオルケルタとの出会いも同じだ。仮に運命に逆らおうと
しても、オルケルタとの出会いだけは否定したくないんだ。だから、自分達に
どんな運命が待ち構えていようと、エーアデが定めた運命に従って自分らしい生き方をしていくしかないんだ。」
「・・・定められた『運命』か・・・。」
「ジルカメスも気づいているはずだ。自分の誕生は『運命づけられたもの』
だって事が。」
「・・・いや、はっきりとは・・・。」
「考えてもみろ、神と人間。間違っても相容れぬ関係の二人が恋に堕ちる
なんてありえない。・・・けど、ジルカメスはここにこうして存在して
いる。神の力を持つ神獣と人間との間に・・・。これは運命づけられていると
いう以外考えられないんじゃないか。」
「・・・そう言いきってしまっていいものなのか?。」
「じゃあ、ジルカメス、あんたは何故俺に着いてきている?。大陸神
エイジャンの使途だから、だけじゃないだろう。」
「俺があんたに着いて来ているのは、俺の意志だ。」
「その、意志さえも惑星エーアデの定めた運命によるものだとしたら。」
「どういう事だ?。」
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