
季節は夏の終わり。
そろそろ夕刻だというのに、まだ陽射しがジリジリと照りつける。
丘の上の大学病院。
私は裏門から入り、木陰の道を進んで外来病棟へ向かう。
チラッと横目に視界へ入り込んできたのは、
芝生の裏庭でサッカーしてる男の子と男性。
なぜか、ふと、微笑みが勝手に漏れた。
サッカー ...なつかしっ。
ここの芝生、よくお父さんのリハビリで
散歩したっけ。
あれ?
なにか一瞬思い出したような ...
残暑のせいか、
自宅から丘を歩いてきた疲れか。
ぼんやりした頭に、
言葉にならない叫び声が入ってくる。
「?」
振り返った目の前に、
飛びこんでくる〜〜〜 何っ!?
「バコーン!!」
「痛っあぁ」
頭に受けた衝撃で咄嗟にうずくまる。
ジーンとして頭グルグルになって ...
あ、また。
この感覚もなつかしい。
コレ、一体、何 ...?
私は痛みの中で、むず痒い記憶の欠片にも気を囚われていた。
「ワァおねえさん、ナイスヘディングー♪」
男の子がコロコロ転がってくボールを追いかけて、横を通りすぎて行く。
そっか。
昔サッカー部のマネージャーしてた時、
たまにこうやってボールがぶつかって …
「ふっw なつかしすぎる。あぁ痛い... 」
記憶の断片が判明して、妙に可笑しな感覚と鈍痛が混ざり合う。
じわり、涙がにじみでてきたとき――
( ビクッ!? )
「スイマセン!ヤベェ!」
唐突に誰か至近距離に入り込んできた!
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