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「遅刻遅刻ー!」
病院で目を覚ました私は治療を受けて一ヶ月後やっと登校が叶った。
今日から青春を味わうぞー!
「ってはりきってなんで寝坊するの私は」
よりによって目の前の横断歩道が赤に切り替わる。大きい道路だから信号長いのに、ついてない。
「ん? あれブサ猫じゃん!」
横断歩道を挟んだ向こう側。
そこには例の不細工猫が歩いていた。
猫はたら~と赤信号の横断歩道を進んでいく。向こうには車。
「危ない!」
私は駆け出し道路のど真ん中にいた猫を拾う。
渡りきるには距離がある。私の足じゃ間に合わない。
迫る車。
クラクションの音。
うわピンチかも。
その時、ふと身体が軽くなった。
「え?」
私の身体は学ランを着た男の子に抱えられていた。
男の子は猫を抱いた私ごと抱え凄い速さで横断歩道を渡りきる。
「まったく。お前も猫と同じで学ばない奴だよな」
男の子は意地悪そうに私を見つめニヤニヤ笑う。
こんなやりとりをした小さな相方の顔が浮かんだ。
もしかして。
「相変わらずドジめが」
この憎まれ口よ。
あんた中学生だったのかい。
私は彼に向かって言ってやる。
「初めまして久しぶり。ところであんたの名前を教えてくれない?」
少し遅れてやって来た新しい出会いに私は胸を高鳴らせた。
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