後編

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「スーツがシワになっちゃうから脱がせてあげたんですけど、そしたら大きくなっちゃって……それだけです」 「だっ……おまっ、じゃ、こんなことをしているのは、もともと男が好きだったから……なのか?」 「ゲイの友人がいて、色々と話は聞いてましたけど、俺はストレートでした。そのはずだったんですけど、大きくなっちゃった大森さんを見たら、俺も勃っちゃったんです。それで大森さんを見ながら……一人で抜いて……それ以来、もっと仲良くしたくてたまらなかったんです」  なんということだ。  俺は雅を襲ってはいなかった。  そりゃそうだろうと一気に力が抜けた。  そして想像とは違ったが、ある意味目覚めさせてしまったの方だった。  俺の何が気に入って興奮したのか知らないが、ここから先へ進むのはまた興味とか好奇心で誤魔化せる話ではない。 「雅は俺とセックスがしたいのか?」 「ええ、もちろんです」  直球過ぎる答えにドキッとしてしまったが、ときめいている場合ではない。気をしっかり取り直した。 「言っておくが、俺も男相手に経験なんてない。この状況でお前だけ放置するわけにいかないとは思うが、本当にいいのか?」 「もちろんです。覚悟はできています」  こんなところでやけに男らしくスッパリと答えてくれたので拍子抜けしてしまった。 「大森さんは……俺で、いいんですか?」 「お……俺は……その……」  雅の下着姿を妄想していたくらいだ。  意識していたし、性的に見ていたのは間違いない。  こんなことになって驚いているが、心臓はドキドキと高鳴っていて、身体中が雅を求めているように感じた。  改めて口にするのは恥ずかしくて、雅を見つめながらゆっくり頷いた。 「嬉しい……大森さんっ、あっ……プレゼントがあるんです」 「はっ? プレゼント?」 「これでーす」  ベッドから飛び降りた雅が、鞄の中をゴソゴソやって取り出したのは、ナイトドリームの新作のランジェリーショーツだった。  横の部分が紐になっていて、それを指に引っ掛けて俺の顔の前に持ってきた。 「ま……まさか、お前、そういう趣味が……」  自分のことは棚に上げて、妄想の中の雅がそのまま出てきてしまったのではないかと驚いた。 「ちょっと待ってください。今準備しますから」  急に俺の性癖を取り出されて、胸の高鳴りは最高潮になった。  雅の下着姿が見れる。  妄想通りで嬉しいには嬉しいが、どこか寂しい気持ちもあった。  雅みたいな綺麗な男なら、違和感なく着こなしてしまうだろう……  俺も……雅だったら…… 「大森さんー、腰浮かせてください」 「あ、ああ、分かった」  目をつぶっていたが、言われた通り何も考えず素直に腰を上げると、肌にスルっとした絹の触り心地がして、アソコが包まれる感覚がした。  覚えのあるそれにぱっと目を開けると、雅はショーツを自分で穿くのではなく、俺に穿かせていた。 「えっ…………」  ここに来て、冗談でもやっているのかと思ったら、雅は目元を赤らめて、恍惚の表情で俺のソコを見つめていた。  焦げそうなくらい熱い視線、うっすら涎まで垂らしている雅が別人のように見えて言葉を失った。 「やっぱり……思った通りです。これ、デザインは俺が担当したんですけど、大森さんをイメージしたんですよ……。絶対、似合うと思って……」 「は?」 「自分でも結構悩んだんですよ。初めて大森さんを見た時に、ああ、この人に俺のデザインした下着を着せたいって……、だって最高じゃないですか、この筋肉質でムチムチした体。俺って綺麗な女の子に囲まれて生きてきたんで、男らしくて尚且つ可愛いものに憧れがあったんです。そこに、大森さんがドンピシャにハマったんです」 「男らしくて……可愛い……」 「そうです。大森さんてレスラーでもイケるような逞しい体なのに、内面はとっても優しくて、繊細で……ちょっと臆病なクマさん感がたまらなくキちゃって」  雅は涼しげなイケメン顔を崩して、真っ赤な顔で俺への情熱を語り出した。  そういえば、この家に入ってからいたるところでクマの置物やらぬいぐるみを見かけた。  寝室のベッドサイドにものっそりしたクマさんが鎮座していて、頭の中は大混乱になった。 「大森さんって、もしかして……下着フェチですか?」 「えっ、ええ!?」  いきなり俺の癖をピンポイントで突かれて、衝撃で体がビクッと揺れた。  まさか、日常のどこかで漏れてしまっていたのかと、冷や汗まで出てきた。 「あの時……傷ついた顔していたから」 「あの時?」 「前にウチの部の新人が悪ノリして、下着つけてみてなんて迫ったじゃないですか。笑いに変えて、場の空気が悪くならないようにされてましたけど、部屋から出て行く時、すごく傷ついた、泣きそうな顔をしていました……、でもたぶん気づいたのは俺だけです。ずっと見ていたから……」  なんてところを見られていたのかと、驚きすぎて言葉が出てこなかった。 「だから大森さん、もしかして、女性の下着着けるのが好きなのかなって。そういう趣味の人いますよね」  痛いところを見られて完全に知られてしまった。  人に知られたら絶対にダメだと思って生きてきたのに、まさか雅にバレてしまうなんて……。  今から違うんだとか、あの時は体調が悪くてなんて切り返す力が湧いてこなかった。  自分もどこかで誰かに知ってもらって、おかしいと言ってもらいたかったのかもしれない。 「は……ははは、そうだよ。下着って言ってもショーツだけ、だけど……。一人で家で穿いて、興奮している男だよ。気持ち悪いだろう、もう……放っておいてくれ……」 「違うんです! 言ったじゃないですか、俺のデザインした下着を着て欲しいって。大森さんが、興味があるかもしれないって知って、俺、興奮しておかしくなりそうでした。今だってほら、ここヤバいですよ。大森さんオカズにして全然イケます!」  雅はそう言ってぐいっと下半身を見せつけてきた。  雄々しく天を向いて反り返るくらいに勃ち上がったソレを見て、思わずごくっと唾を飲み込んでしまった。  カリの形や下生えまで色っぽく見えてしまい、触りたくなってしまった。  同じものが付いているし、男のソレになんて今まで性的な興味を持ったことなんてなかった。  だが、雅のモノに嫌悪感などなく、なぜだかゾクゾクして体が熱くなった。  まるで美味しそうなものを目にした時の、獣のようだと思った。 「興奮して……くれているのか? 俺で……?」 「そうですよ。すぐにでもシタくてたまらないです」  むくっと上半身を起こした俺は、聳え立った雅のソレに触れた。  ドクンと脈打つように大きく揺れたので、嬉しくなってしまった。  気持ち良くなって欲しい……、自分がやったことはないけど女性がやってくれた時を思い出して、雅のモノに口に含んだ。 「あっ……嘘、大森さ……」  同じ男同士、気持ちいいポイントは何となく分かる。  口に含んだ状態で、亀頭の部分を舌を使って唾と絡めながら舐めてみた。 「ああ……やばっ、それっ気持ちい……」
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