後編

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「はぁはぁ……はぁ………くっ……はぁぅぅ……」  灼熱の杭が捩じ込まれて、腹の奥で今にも爆ぜそうにどくどくと揺れている。  最初の時に力の抜き方を覚えたので、今回はさほど痛みを感じることなく受け入れることができた。  もちろん、雅が丁寧に時間をかけてほぐしてくれたこともある。  俺は四つん這いになって、雅は後ろから挿入ってきた。  枕をつかみながら視線を自分の股間に向けた。  俺はお気に入りの黒のショーツを穿いていて、布を押し上げて膨らんだ股間が最高にエロくて興奮する眺めだった。 「ティーバックだと、挿れやすくていいですね。大森さんの肌に食い込んでいるのも最高……」  俺は興奮するが雅はどうなんだろうと、いまだに不安な気持ちがあったが、それを一掃するくらい雅のモノはガチガチに硬くて、俺の中でどんどんデカくなっている気がする。 「ふっ……あっ……熱い……みやび……」 「大森さ……気持ち……いい、ちんこが溶けそう……」  なじむまでしばらく動かないと言っていたが、限界が来たのか雅は息を吐いてから腰を動かし始めた。  始めはゆっくりだったものが、俺が熱い息を漏らして感じているのが分かると、雅は一度引き抜いてから深く打ち付けて、パンパンと腰をぶつけながら激しく打ち付け始めた。 「はぁ……はぁはぁはぁ……ああっ……ううっそこはっ…っ…」 「あっ……ここですか? ああ、いいですね。すごい……よく締まる。ここ好きですか?」 「んんぁぁ、す……き、いいっ、きもち……いいっっ、もっと……こすってく……れ」  自分からこんな甘い声が出るなんて信じられない。何もかも気持ちよくて、雅の雄を求めて俺は涎を垂らしながら喘ぎ続けた。 「ふふっ、可愛すぎます。この肉厚で硬いお尻も……こうやって揉むと柔らかくなって……最高……ずっとこうしていたい」 「ああっ……くくっっっ」  雅は俺の尻を優しく撫でていたかと思ったら、ぐわんと力を入れて揉みながら、激しく奥を突いてきた。 「ああっくっっ、みやびっっ……みやびぃ」 「大森さん……ハァハァ……おおもりさ……でそう……中に……」 「なか、きて……くれ、たくさ……あついのがほし……」  雅の熱に包まれると、あの初めて女性用のショーツ履いた時の満たされる感じと同じで、なんとも言えない充足感と体中が喜びで溢れてくる。  その熱を体の奥に感じられるなんて、最高に幸せだと思った。 「あ……イク、大森さんっっ」 「ああ……あつい……あっっ、いっ……くっっ」  腹の奥でどぴゅっと熱いものが注ぎ込まれる感覚があった。その熱さに押されるように、俺も達して下着の中にどくどくと放った。 「ぁぁ………みや………みやび」  雅が俺の中からズルリと自身を引き抜くと、ポタボタと欲情の名残が俺の尻に落ちてきたのを感じた。  イッた後の気だるい重さの中で、急に寂しくなってしまって雅の名を呼ぶと、俺の横に転がった雅は手を伸ばしてぎゅっと頭ごと包み込んで抱きしめてくれた。 「気持ち良すぎて、途中で心臓止まるかと思いました」 「ばか……そんなの冗談でもやめてくれ」  俺のことを可愛いなんて言って欲情してくれるのは雅だけだ。  俺も雅の良いところや悪いところも見たい、もっともっとたくさん色んな話がしたいし、色んな顔が見たい。  体の中から溢れてくる喜び、これが愛で、そして幸せなのだとやっと気がついた。  雅を見つめていたら、雅の顔が近づいてきて、またゆっくりと唇が重ねられた。 「二人とも、もうぐしょぐしょですね。大森さん、もう一回、いいですか?」 「ああ、いいよ。体は大丈夫か? 心臓は止めないでくれよ」 「はははっ、分かりました。大森さんこそ、大丈夫ですか? 言っておきますけど俺の体力、ナメないでくださいね」  聞けば雅は学生時代、体を作るためにサッカーを始めて、全国大会までいったという強者だった。  体力と聞いて火のついた俺は、望むところだとやる気に燃えてしまった。  ニヤリと笑った雅はまた俺に覆いかぶさってきて、すぐに淫らなキスが始まった。  その夜、見た目は柔和な王子様だが、同じ体育会系同士、ぶつかり合う激しい交わりはお互い気を失うように眠りにつくまで続けられた。  展示会の成功を皮切りに、その後もどんどん売上を伸ばして、スポーツ用のアンダーウェアは今年のヒット商品にも選ばれた。  仕事は順調、そして私生活も……。  もちろん趣味については雅以外誰も知る人はいないが、それでも自分を認めてくれる人がいるというのは、満たされて幸せな気持ちになった。 「今度、祖父に会ってくれませんか? 見合いを勧めてきたので、恋人ができたって言ったらぜひ会いたいって」  日課になった非常階段での昼休憩、腰を下ろすなり雅はとんでもないことを言い出した。 「だっ……そ、それは……」 「あーー、もしかして恋人だと思っていたのは俺だけで……」 「いや、そうじゃなくて。さすがにいきなりはマズいだろう。どう考えたって、可愛い女の子を想像していたのに、俺がどしどし歩いて来てどうもお付き合いしてますなんて、相手は年配の方だろうし……驚いて倒れでもしたら……」 「それは大丈夫です。祖父は破天荒な人ですから。野生のクマを連れて来ても、笑っておめでとうって言ってくれます」  それが普通の感覚の人なら、また別の意味で恐い。  挨拶するのは構わないし、会いたいと思うのだが、お互い傷つくようなことにはしたくなかった。 「それに、大森さんもよく知っている人ですから、そんなに緊張することもないじゃないですか」 「は? それはどういう……?」 「あれ、言ってなかったでしたっけ。うちの会長の鬼瓦斬九郎が祖父です。あー、でもそんなにこっちに顔出さないし、あまり話す機会は……」 「はぁ!? あの顔面必殺仕事人の……鬼瓦かいちよ……」  混乱の時代を生き抜いて、一代で会社を大企業まで築き上げたレジェンド、そして眼光だけで人を殺せるという異名のある怪物、それが鬼瓦会長だ。  もちろん、会ったことはあるが、怖すぎて目も合わせられなかった記憶がある。 「ちなみに社長は叔父です。そうかー、知らなかったんですね」  どうやら周りは知っていたが、当然すぎてか怖くてか知らないが、誰も口には出さなかったようだ。  これでタワマンのセレブ生活の謎が判明した。  ちなみに入社当時は秘密にしていたらしく、それで雅のイケメンぷりに嫉妬して嫌がらせをする先輩がいたらしい。  その人がどこへ行ったのか、恐ろしくて聞けなかった。 「じゃ、今週末にでも」 「いやいやいや、ちょっと待て、まだ死にたくない」 「大げさですよぅ、俺溺愛されてますから」 「余計恐いわ!」  大森さんお願いしますと言ってしがみついて来た雅にぐらぐらと揺さぶられた。  こうなったら怪物に食われる覚悟で戦場に向かうしかない。 「………分かった」 「やったぁーー! 大森さん! 大好きーーー!」 「ぐっ……ぐるしぃ」  雅は誰もが振り向く美貌の人だ。  女子社員達の憧れの王子様。  そして、俺にとっては…… 「大丈夫です。もし、祖父が暴れたら、俺が守ってあげますから」 「こっ、恐いこと言うなって!」 「はははっ、大森さんはかわいーな」  どんな俺のことも可愛いと言って愛してくれる人だ。  お願いと甘えられたら、許してしまう。  溺愛に関しては斬九郎氏といい勝負ができるかもしれない。  嬉しそうに微笑んだ雅は、俺の頬にキスをしてきた。  物足りなくて、すぐに離れていった雅の唇をじっと見つめてしまったら、フッと笑った雅は俺の耳に口を寄せてきた。 「止まらなくなっちゃうから、今はここまで。その代わり、今夜は寝かせませんよ」  つくづく俺の心臓を揺らすのが好きな男。  そして、最高に甘くてカッコいい、俺の恋人。  □終わり□
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