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取引先との会食は、雅のおかげですぐに打ち解けて和やかに終わった。
二次会は予想通り、お姉さんのいる店に連れて行かれた。
高級店というよりも、地元の人間が気軽に寄れる感じの店でお姉さん達の年齢層も高かった。
モテモテの王子は、ここでも伝説を作ってしまうのかと思っていたが、この店はちょっと変わった好みの子が揃っているのか、おかしな雰囲気になってしまった。
「えーすごい硬いーー、こっちも触りたーい」
「いや、本当に……あの……」
「胸も触っていい? やっ、ムチムチしてるぅ。可愛いーー」
このお店の女性達は筋肉好きが多いらしい。
入店後、雅はイケメンくん、こっちーと引っ張られてられて行ったのだが、なぜか俺も別のテーブルで女性達に囲まれてしまった。
一世代上のお姉様方は、最初から距離が近く、俺に酒を勧めながら腕やら胸を触って来た。
いつの間にか競うようにベタベタと俺の触り放題になってしまった。
もう勘弁してくれと思いながら、頼みの綱である部長を探したが、他のテーブルで盛り上がっていて、俺の方なんてちっとも見てくれなかった。
取引先の人達は、モテモテですねー羨ましいとか言いながら通り過ぎて行ったので、苦笑いしながらどうもと頭を下げるしかなかった。
「えー、なんか反応が可愛いー。大森さんてあんまり遊んでない? えーいっ、尖ってるとこツンツンしちゃお」
「だっ……うう! すみません、それは本当に……わわっ」
酔って調子に乗った隣のお姉さんが、乳首を狙い撃ちして突いてきたので、さすがにそれは耐えられないと手でガードした。
俺の反応がおかしかったのか、いっせいに可愛い可愛いと声が上がった。
俺は幼稚園児かと思いながら赤面していたら、ドンっと鈍い音がしてテーブルが揺れたのを感じた。
顔を上げて見るとそこには、奥のテーブルに連れて行かれていた雅が立っていた。
酒の入ったジョッキを強めに置いたらしい。
泡がわずかに溢れていた。
酔っているわけではなさそうだが、いつもの柔らかい雰囲気ではなく、表情にトゲがある感じがした。
「すみません、あっちのテーブル、女の子足りないみたいなんで、行ってもらえますか?」
雅が指差したのは、取引先メンバーが飲んでいるテーブルだった。確かに奥のテーブルと俺のテーブルに女の子が集中してしまい、ガランと寂しい光景になっていた。
「大事な取引先の方達なんで、ぜひ盛り上げていただけると助かります」
雅がそう言ってペコリと頭を下げたら、イケメンに頼まれたらやらなくちゃと、みんな一斉に離れて行った。
花がなくなって、今度はこっちがガランとしてしまったが、雅はため息をつきながら俺の横に座ってきた。
「助かったよ。触られすぎて困っていたんだ。冗談とかで上手いこと返すこともできないし」
「本当ですよ。デレデレしちゃって、どこまで触らせてるんですか?」
思っていた反応と違って、一瞬固まってしまった。
こういう時、冗談混じりで和ませてくれるタイプの雅が、明らかにムッとした顔になって機嫌が悪そうにすら見えた。
「シャツ、第二ボタンから下!」
柔和な王子様から気持ち強めな言葉が飛んできて、何のことだろうと見てみたら、さっきの女性が悪ふざけでやったのか、第二ボタンから下がばっくりと開いて中が見えていた。
「おおっ、いつの間に、こんな悪戯を……」
「悪戯って、乳首まで見せて何してるんですか?」
「いやいや、本当に困るって言ったのに、勝手に開けられたんだって……」
「へぇ勝手に、ですか」
自分から見せるわけないだろうと言って前を留めようとしたら、その手を雅にぐっと掴まれた。
俺よりは細いがしっかり筋肉のついた腕は、見た目以上にかなり力があった。
「え? どうした?」
「あの人達がいいなら、俺も触ってもいいですよね?」
「はっ? わっ……ちょっ!!」
雅は空いた隙間に手を滑り込ませて、俺の乳首を指で掴んできた。
あまりのあっという間の早業に抵抗することもできずに、そのまま動けなくなった。
「雅……お前、何してるのか……分かってるのか?」
「ふふふっ、今さら何を言っているんですか? 一緒にベッドの上で朝を迎えた仲なのに」
「ゔうっ」
「この席って、少し窪んでいるから他のテーブルからは頭くらいしか見えないんですよ」
「だからって……」
「大森さんがあんまり可愛いからいけないんですよ」
今日はよく可愛いと言われる日だ。
俺のせいだと言われたら、この前の夜のことを思い出して力が抜けてしまった。
雅は俺の服の中に手を這わせて、乳首をつねったりこねたりしながら弄りだした。
「……雅、俺は女じゃないから、そんなところ……」
「え? 女の子より、ずっと可愛いですよ。この小さな乳首、つねるとどんどん立ち上がって……」
「はっ……ぁぁ、ちょ……やめっ」
「しかもこの胸筋、あの人達が大騒ぎしていましたけど、先に目をつけたのは俺ですから」
「な……なに? あっ……ま、ま……くっ……ぉぉ」
ついには両手をシャツの間から入れて、雅は俺の胸をまるで女にするみたいに、ぐわぐわと力を入れて揉んできた。
「はぁ……や……やめっ……みや……みやび……」
「可愛い、胸揉まれて乳首立てて、俺の名前を呼んでくれてるんですか? そんなに煽って、ここでしちゃいますよ?」
耳元で雅が囁いて、フッと息を吹きかけてきた。
胸を弄られてすでに熱くなっていた体に、ゾクゾクとする快感が走って声が漏れそうになった。
「はぁ……たまんない……、大森さん、やばいっ、シタくなってきた」
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