文化祭は危険がいっぱい

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文化祭は危険がいっぱい

 9月からの学校は憂鬱ではあったけれど、千郷に勇気をもらったから、夏休み前よりも堂々と過ごすことにした。  文化祭の準備で忙しい時期だからか、クラスの女子の態度は普通に戻っていたが、あの3人は相変わらず私をいないもののように扱っていた。直接言ってこない分不気味だ。  私は帰宅部だからあまり関係ないけど、来年は受験で3年生はほとんど参加しないため、実質最後の文化祭だった。ほとんどすることがないので、他のクラスの友達のところに顔を出し、手伝ったりしていた。  しばらく平和に暮らせると安心していた文化祭当日。それを揺るがす事件が起きるのだった。  自由時間にどこ回ろうかと一人でうろうろしていた時、急に声をかけられた。 「愛唯ちゃん」  誰かと思ったら、この前コミケで会った北村君だった。 「その呼び方やめてください」  こんな廊下のど真ん中で恥ずかしい。ただでさえ注目を浴びたくないのに。  北村君は、周りにいた男子に一言言ってから、私の方に一人で寄ってきた。 「えーと、何か用ですか?」 「つれないこと言わないでよ。一緒に回ろうよ」 「嫌です」  と小声で言ったのは、聞こえていなかったのか、北村君は続けて言った。 「この前はバタバタしてて、連絡先も交換できなかったし」  どうして連絡先の交換をしなきゃいけないのか理解できなかった。北村君と仲良くなった覚えもない。 「間に合ってます」  北村君を放って歩き出すと、何故か後ろについてきた。 「あの、男子と歩いていると目立つので、離れてください」 「何でそんな塩対応なの。コミケの時の方が優しかった」  私はむっとした。 「ほとんど話してませんけど」 「そうだっけ?」  いくらあしらってもついてくるので、大きな声で言った。 「ついてこないで」
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