文化祭は危険がいっぱい

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 そしたら、北村君とは別の方角から声が聞こえた。 「なにあれ? 男には興味ありませんって顔しながら、男たらし込んでるじゃん」  例の3人のうちの1人、同じクラスの斉藤さんだった。私に嫌味を言うことしかやることないんだろうか。私はため息をついた。  だから嫌だったのだ。文化祭が終わったらまたネチネチと嫌味を言われると思い、憂鬱な気持ちになった。 「あんたの性格の方がねじ曲がってると思うけど」  ちょっと、北村君? 何でわざわざ相手の神経を逆なですることを言うんだろう。言い返すにしても言い方が……。 「は?」  案の定、斉藤さんの顔が般若みたいになった。  私が二人の板挟みで戸惑ってると、北村君が更に続けて言った。 「女子高で俺たちみたいな男子高生と絡もうとする女なんて、あんたみたいな性格ブスばっかりだから、やめとけって言ったのにさ。ほいほいとつられて行っちゃう馬鹿ばっかなんだよな」 「ブス?」  斉藤さんが聞き返した。私は一人おろおろするしかなかった。 「顔のことじゃねえよ。まあ、顔も大したことないけど。張りぼてばっかで気持ち悪い」 「ちょっ。あんた最低。何でカラオケ来たわけ?」 「別に。なんとなく。人数合わせで」 「人の邪魔ばっかして、狩屋さんと同類」 「あいちゃ、狩屋さんにくだんねえ暴言吐くあんたの方が最低だと思うけど」  私はいい加減いたたまれなくなって、二人の間に割り込んだ。 「もうやめて」 「愛唯ちゃん」  北村君は困った顔をしたが、気にせず言った。 「私、別に何言われても平気だから」 「はあ?」  と口を挟んだのは斉藤さんだ。 「斉藤さんだって悪気があったわけじゃ」 「悪気だらけだろ」 「馬鹿じゃないの。別に庇ってくれなくていいわ」  斉藤さんは私たちを睨んで言った。 「せいぜい変わり者同士で仲良くしたら」  斉藤さんは捨て台詞を吐いて行ってしまった。  私はとりあえず一難去ってほっと息を吐いた。 「そんな甘いこと言ってたらまた言われるんじゃねえの?」  北村君はしつこく追求してきた。口調もこの前よりぶっきらぼうだ。 「別にいいの。もうほっといて」  最初から北村君が声をかけてこなければこんなことにならなかったのにと思わずにはいられなかった。
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