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というようなことがあって、自宅への帰り道、私はかなり憂鬱だった。月曜日学校に行ったら、垢抜けてる系女子たちに色々言われるんだろうと想像に難くなかった。
たとえカラオケ大好きでも、大人数の時はほとんど歌えないのだからやめておけば良かった。だけど、今更後悔しても遅い。
普段ははっきりと言えないし、学校でも話す人も少なくておどおどしていることも多い。そんな私がカラオケで歌っても、誰もまじめに聞いてはくれないんだろう。本当に馬鹿だった。
友達と、千郷と行けば良かった。なかなか会えないし、最近行けてないからこんな風に思うのかもしれない。
千郷は2年前に静岡県に引っ越してしまったから。たまに神奈川にいる親戚のとこに帰ってくるけど、会えるのは夏休みや冬休みなど長期休暇の時だけだ。
ああ。千郷に会いたいな。せめて愚痴を聞いてもらおう。明日は土曜日で休みだし、電話してみよう。そう思ったら、さっきの出来事もどうでもよくなってきた。ただの現実逃避かもしれないけど、せめて月曜日までは忘れていたい。そう思って私は帰路に着いたのだった。
次の日、ちょっと寝坊して起きたのは昼前だった。土曜日だし、たまにはいいよね。私は仕度や朝ご飯を済ませた後、早速スマホの無料通話アプリで千郷に電話をかけた。
『久しぶり。元気?』
「千郷、聞いて、聞いてよ」
私は昨日の出来事を愚痴り倒した。
『出なきゃ良かったじゃん』
と言われてしまったけど。
「カラオケ好きだからさあ」
あんな会だって気付かなかったのだ。そういいわけするしかない。
『純粋に歌いたいから来てる女子って多分愛唯だけだよ』
「やっぱりー」
その後も他愛のない話を続けたが、千郷と話すことが純粋に楽しかった。聞いてもらって少し楽になった。
そろそろ電話を切ろうとしたら、その前に千郷が言った。
『夏休みそっち行けそうだよ』
私は嬉しくなって笑った。やっぱり、持つべきものは友達だよね。今度こそ千郷とカラオケ行くぞ。と今から頭の中で計画を立ててしまう。
夏休み何をしようか話し合いながら、電話を終えた。夏休みが楽しみで仕方なかった。
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