学校でひと悶着

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「それはもういいよ。北村君が言い過ぎるくらい言ってくれたし」 「北村君って文化祭に来てた彼?」 「うん」 「あんた付き合ってるの?」 「え?」  付き合ってる? 誰と誰が? 「ないない。そんなことあるわけないじゃん」  北村君はただのお友達だし。 「ほんとに?」 「ないって」 「なんだそっか。誰か紹介してもらおうと思ったんだけどな」 「え?」 「やることばっか考えてない男子いないかなーって」  斉藤さんは笑いながら言った。 「うーん」  私は北村君の言葉を思い出した。 「多分そんな奴いないって言われるよ」 「え?」 「だって、北村君、最初俺も考えてるからって言ってたもん」  私はその時のことを思い出しておかしくなり、ついくすっと笑ってしまった。 「変な奴ね」 「私もそう思う」  斉藤さんとこんな話をするようになるなんて、想像もしなかった。 「西村(にしむら)さんでもいいけど」 「え? 千郷?」 「まだあんたたち仲良いんでしょ?」 「うん。まあ」 「他校の男友達紹介してくれないかなーって」  斉藤さんは強いなあと思った。私だったら、ホテルに誘われたりなんかしたら、男なんか嫌になると思うのに。 「一応聞いてみるけど、あんまり期待しないでね」 「ふふふ。期待しないで待ってる」  私たちはお弁当を食べ終えて、教室に向かおうと立ち上がった。  そしたら、突然改まって言われた。 「この前はありがとうね。庇ってくれて」  お礼言われるなんて思わなかった。 「そんな、全然大したことしてないし」 「ひどいこと言ったのに、庇ってくれるなんて思わなかったからさ」  斉藤さんは笑ったので、私もつられて笑顔になった。私とは全く違うタイプで関わることなんかないと思ってたのに、こんな風に話せる日が来るなんて本当に思わなかったのだ。
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