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山田さんと三島さんの2人は相変わらず沙織に突っかかっていたけど、沙織が相手にしないので、面白くなさそうだった。それで、今度は他の人に私や沙織の悪口を吹聴し出した。いい加減やめればいいのに。
他のクラスメイトも、2人がいる時は話を合わせているけれど、いない時はこそこそと2人の悪口を言っていた。2人が私たちの悪口を言い出したのが発端だから、自業自得ではあるけど、あまりいい気はしなかった。そんな話を沙織にすると、「愛唯は甘いね」なんて北村君みたいなこと言われたけど。
「そこがいいところなんだけどね」
沙織はウィンクした。
「普通だったら私みたいな人と仲良くしてくれないからね」
沙織は自嘲気味に言った。
「そんなこと……」
「本当は西村さんだって疑ってるんじゃないの? だから、私が愛唯の友達にふさわしいか見極めようとしてるのよ」
確かにそうかもしれない。千郷はいつも私を心配してくれている。
私が押し黙ると、沙織は明るく言った。
「ほら、気にしない気にしない。疑われたって仕方ないんだから。私はそれでいいの」
沙織はそう言うけど、千郷だってきっとわかってくれるはずだ。
「本当はちょっと、あの2人みたいにならなくて良かったって優越感感じちゃってて。駄目だね」
「駄目じゃないよ」
私は首を振った。
「愛唯みたいに誰にでも優しくできたらいいな」
私だって誰にでも優しいわけじゃない。ただ、向こうが悪いからって、こっちも悪口を言うのは違う気がするだけで。
「愛唯の気持ちはわかるよ。あいつらも、色々あるのよ。家庭が放任主義で、いつもほっとかれてたりね。でも、それを言い訳にしていいわけじゃないから」
沙織の方が元々仲良かった分、複雑なのかもしれない。
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