デート!?

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「はあ。やっぱり全然意識してくれてなかったね。ま、期待はしてなかったけどさ」  そんなの、そんなの知らない。北村君が私に気があるかもなんて、努めて考えないようにしてたんだから。 「だって、北村君友達って言ったじゃない」 「うん。言った。とりあえず友達からって」  とりあえず? そんな言い方だったか全く覚えていなかった。 「いきなり付き合ってなんて言ったら警戒されるでしょ? でも、愛唯ちゃんは鈍すぎるからその方が良かったのかも。どうかな」 「私かえ」 「帰るとかそういうのなしね」  先に言われてしまった。 「別に死ぬほど嫌だったらいいけど、そうじゃないなら、今日くらい付き合ってくれない?」 「う、うん」  結局流されてしまった。恋愛関係に免疫がない私にはこれが限界だったと思う。 「まあ、色々デートプラン考えて来たけど、一応聞いとく。行きたいとこある?」 「アニメイトと紀伊国屋」 「そういうのなし」  せっかく新宿まで来たのに、どこにも行かないなんて信じられない。 「愛唯ちゃん、あからさまに残念な顔しないで」  だって仕方ないじゃない。新宿って聞いてから行く予定で計画立ててたのに。 「もう。しょうがないな。どっちか1個なら」 「じゃあアニメイト」 「だよね」  だって推しのグッズが増えてるかもしれないし。 「推しよりも俺のこと見て欲しいな」 「え?」 「なんて冗談だよ」  冗談じゃない気がして、私はドキッとしてしまった。  とりあえずお昼を食べに行くことにした。 「今日は夕飯くらいまでいられる?」 「うん。一応食べてくるとは言ってきた」 「もっと遅くてもいいけどね」  北村君はウィンクした。  私は千郷と沙織の言葉を思い出した。 「む、無理です」 「ははっ。そんなに警戒しないでよ。別に夕飯食べに行くだけだって」  私は北村君の言葉とは裏腹に絶対警戒を解くものかと思った。
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