女子会

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女子会

 3日後の女子会は大変だった。何が大変って、北村君とのことを逐一報告しなくちゃいけなかったから。  その前に、最初の待ち合わせで一悶着あった。 「西村さん、すごい久しぶりじゃん。元気だった?」  沙織があっけらかんと言った。 「まあ」  千郷は少しぎこちない。 「愛唯、斉藤さんって何でこんな悪びれないの?」  なんて、沙織に聞こえるようにわざと千郷が耳打ちした。 「ちょっと2人でこそこそしてないで、それから、沙織って呼んで」 「あのね、斉藤さん」 「沙織だって。千郷って呼んでいい?」 「人の話を……」 「ちょ、ちょ、ちょ」  私は困って口を挟んだ。 「とりあえず移動しよう。ね」 「賛成」  と言ったのは沙織。千郷は渋々と従って歩き出した。  近くにマックがなかったから、似たようなファーストフードに入った。ポムポムバーガーって初めて見た。  席を取ってからそれぞれレジに並んで、食べ物飲み物を買って席に戻った。 「んで、なんか私に言うことないの?」  千郷が沙織に詰め寄った。 「ん? 愛唯とはいつも仲良くしてもらってます。千郷も仲良くしよう!」 「そうじゃないでしょ。今までの詫びとか。それに、いつも連んでた人たちはどうしたの?」 「みゆきと結奈のこと? あいつらとは絶交したから」 「絶交?」 「そう。もうついていけなくて。あいつらヤリマンで」  何の話? 私は黙って聞いてたけど、ついていけなくなった。 「愛唯の前でそんな話」 「ごめん。つい口がすべった」  やっぱり意味がわからなかった。でも、すぐに話題が移ったので、その意味は聞けなかった。 「結局、私に突っかかって来てたのは何だったの?」 「それは、うらやましかったからかな」  沙織が言った話は以前もしていたのでわかった。 「私、ずっと彼氏が欲しくて、みゆきと結奈みたいな垢抜けてる女子といればそれが叶うって思ってたんだ。でも、実際はあいつら私が思ってた以上に遊んでて、彼氏も何度も変わってたみたい」  沙織は本当に彼氏が欲しかったんだなとしみじみ思った。 「時流に乗ればうまくいくって信じてたんだけどさ、あんたみたいに人に何言われたってブレない奴ってやっぱすごいなって思って」  私は黙って聞いていた。沙織の気持ちが千郷にも伝わるといいと思った。 「愛唯もね、ずっとクラスで一人浮いてたのに、ちゃんと毎日学校来てるしさ、強いなって。私が同じ立場だったら、休んじゃうもん」  私、別に強くなんかないのに。 「もうあの2人とは一緒にいたくないの。本当の友達を見つけたいの。愛唯と仲良くしちゃ駄目かな? もちろん千郷とも」  千郷は少し考えて、ふうとため息をついて言った。 「愛唯があんたを信じたなら信じるわ。でも、絶対に裏切らないでよね」 「うん。もちろん」 「千郷って呼んでもいいけど、私は斉藤さんって呼ぶわ」 「いいよ。いいよ。別に」  やっと和解したのかなと思って嬉しくなった。 「愛唯を傷つけたら絶対許さないからね」 「うん。約束する」  私は2人に向かって笑った。 「千郷、ありがとう」  って言ったら、照れたように千郷が言った。 「愛唯は人が良いからしょうがないわよね」  2人はよろしくと握手をし合っていた。
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