女子会

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 これ似合いそうとか、これ欲しいとか言い合いながら服や靴、アクセサリーなどを見ていた。 「せっかくだから、お揃いで買わない?」  と、ヘアピンを見て沙織が言い出した。バラの花がついたヘアピンで、色違いでいくつか種類があった。 「いいね。私は紫」  なんてったって、推しのミキヤの色だから。 「私青にしよっと」 「じゃあ私は黄色で」  沙織が青、千郷は黄色にしたようだ。  それぞれ買ってその場で付けた。こうしていると、仲良しグループみたいな感じでうれしかった。  最後にファミレスでスイーツとドリンクバーを頼みつつおしゃべりした。  女子会だからか話は尽きなかった。そして、いつしかクリスマスイブのデートの話になっていた。 「うーん。まあ、色々とあったけど、やっぱりまだ友達かなー」  やっぱりまだ彼氏なんて考えられない。 「生殺し」 「ちょっと北村君に同情するかな」 「2人してなんなの!」  私は自分が責められてる気がして憤慨した。 「まあ、でも愛唯に大人になって欲しくないかなー」 「確かに。それは同意する。このままでいて欲しいよね」  また2人は変なことを言ってきた。 「さっきから、2人して」  私が怒ると、また沙織が私のほっぺたをつついてきた。 「ちょっとやめてよ!」 「そうやって愛唯をからかっていつも遊んでんの?」  千郷まで楽しそうに言わないで。 「そうそう」  沙織も同意しなくていいし。なんか、2人息が合ってない? 私の立場は一体……。ため息をついた。 「そういえば、北村君にいい人いないか聞いてくれた?」  沙織に聞かれて、私は曖昧に答えた。 「聞いたけど……」  あんまり良い返事はもらえなかった。まだ沙織を疑ってるみたいだったから。 「沙織、この前文化祭で北村君とやり合ったでしょ? 北村君根に持ってるみたいで」  そういえば、ご褒美にキスとか言ってたような……。 「愛唯、どうしたの?」 「いのっちに何かされた?」  顔に出ていたらしい。私は首を横に振った。あんなのただの冗談だよね。代わりに名前で呼んでとも言われたけど、まだ呼べてない。 「ご褒美に名前で呼べって言われた」  維之介君なんて呼べないよ。 「へえ」  沙織はニヤニヤと笑った。 「ホントにそれだけ?」  千郷は鋭い。私はなんとかごまかすしかなかった。 「恥ずかしいんだもん」 「やっぱりこのままでいて欲しい」  千郷が立ち上がり、私を後ろから抱きしめてきた。沙織はそんな私たちを楽しそうに見ていた。 「ふふっ」  沙織のその笑い久々に聞いたな。  私たちは仲良くお別れしたのだった。
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