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北村君は、私が電話したらすごく喜んでいたけど、喜ぶような話じゃなくて申し訳なかった。
沙織から言われた話を正確に伝えたら、北村君も罠じゃないかと言い出した。
「でも、でも。どうすれば? 沙織に連絡つかないんだもん」
私は半泣きになった。
「落ち着いて愛唯ちゃん。何か心当たりとか、思いつくことないの?」
「わかんない。よく行ってた古着屋さんとか言ってたけど、私知らないもん。その、山田さんと三島さんがどこに住んでるかも知らないし」
「そいつらも、この前の二次会来てたんだよな?」
「うん。それが何か関係」
「あるよ。俺名前まで覚えてないけど、顔見たら思い出せる」
そっか。北村君も二次会で会ってたはずだもんね。
「でも居場所までわかるの?」
「いや。ただ、一緒に来てたうちの奴らが知ってるかもしれない」
そういえば、慈恋舞高校に山田さんと三島さんと付き合ってる男子がいたんだっけ。もしかして、その人たちが何か知ってるかもしれない。
そのことを北村君に伝えた。
「とりあえずそいつら捜してみるけど。ただ、俺はあんまり付き合いない奴だから、見つかるかわかんないぜ」
「うん」
「何かわかったら連絡するから、愛唯ちゃんも調べてみて。くれぐれも1人で出てったりすんなよ」
「わかった。ありがとう」
山田さんと三島さんと仲良い人は他にいただろうか。そもそもクラスメイトの連絡先、沙織しか知らないや。私の交友関係が狭すぎて、すぐに詰んでしまった。
北村君の連絡を待つしかないのがもどかしい。
一応千郷に連絡してみるべき? と考えていたところで電話が鳴った。こんなに早くわかったの? と思って反射的に、出たら千郷だった。
「千郷!」
私が今日あった一連の流れを説明したら、
「私と電話してる場合じゃないよ。北村君の連絡待たないと。話してる間にかかってきたらまずいでしょ?」
と言われた。もっともだと思って肯いた。
「うん」
「1人で無茶は絶対しないでね。じゃなかったら、私が静岡から駆けつけるよ」
「うん。ありがとう」
すぐに電話を切ったけど、千郷に勇気をもらった。やっぱり千郷大好きだ。
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