最悪な学校

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 クラスに友達がいないから、普段は他のクラスに行って食べることもあるけど、その日は怖くて行けなかった。もし他のクラスの友達にまで白い目で見られたら、立ち直れないと思ったのだ。放課後たまたま一緒に帰ることになった友達は、普段通り話しかけてくれたので、ほっとしたけれど。  元々クラスに馴染んでなかったのは認める。でも、ここまでひどいことされたことない。あの三人はともかく、他の人はカラオケにも来てなかったくせに。何でこんな目に合わなきゃいけないの?  絶対三人が何かしたんだと思った。でも、それを確かめることもできなかった。  帰ってからよっぽど千郷に聞いてもらおうかと思ったけど、毎日のように電話をかけるのも迷惑かと思って遠慮した。  こういう時兄弟がいたら、話聞いてもらえたのかな。お母さんはあまり当てにならないし、言っても無駄だと思って言わなかった。自分の推しバンドと海外のドラマに夢中で、話は聞いてくれるけど、ほとんど役に立たない。父親は夜遅いし、早くてもあまり話さない。正直苦手だった。  他のクラスの友達だって、推しや趣味の話をするだけで、真面目な話はしたことがなかった。そこまで仲が良い人は学校にはいないから、話せる人が誰もいないのだ。  あれ以降本人たちが何か言ってくることはなくなったけど、クラスメイトからの無視やハブりは続いていた。クラスの人を使うなんて狡猾で最低だと思ったけど、証拠もないし、何もできないまま一学期が終わるまでひたすら待つしかなかった。  夏休みになったら千郷に会える。それに、推しに命をかけられるコミケがある。だから耐えられた。  コミケ楽しみだな。ミキヤの本いっぱい出てるかな。コスプレ見るのも楽しみ。  私はクラスのことはなるべく考えず、目先の楽しみのことばかり考えていた。  パンチングストライク、通称パンスト。少年誌ガンプに載っているボクシング漫画が大好きで、そのキャラのミキヤに惚れ込んでいた。命を賭けていると言っても過言ではない。  もちろん同担歓迎だから、毎回コミケで同人誌を買いあさるし、スケッチブックにミキヤの絵を描いてもらうことも多い。大手と呼ばれる有名なサークルは客が多くてなかなかスケブまで描いてもらえないけど、小規模のサークルを捜すのも楽しい。私の推しサークルさんも毎回コミケに来てるので、欠かさず行っていた。  夏休みのことで頭をいっぱいにしてなんとか1ヶ月弱を乗り切った。
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