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腕だけ縛られて、男たちに別の部屋に連れていかれた。引っ張られて痛いし、めちゃくちゃ嫌だったけど、きっと北村君が乗り込んで来てくれると思って耐えた。
階段を二つ上がったから、4階だろうか。北村君に伝えられないのがもどかしい。
「43番? 一体いくつ部屋があるの?」
倉庫のはずなのに、どこの部屋にも荷物は何も置いてなかった。何に使ってるんだろう。
「うるさい黙れ」
何で命令されなきゃいけないんだろう。気に入らないけど、逆らうと危険だと思ったので黙ってた。
入れられた部屋には沙織はいなかった。そんな簡単に会わせてはくれないかと思って落胆した。
外側から鍵をかけられ閉じ込められた。縛られているのは手だけだったから、中の鍵を口を使って開けようとしてみたけど、壊れてるみたいで開かなかった。わざと壊したのかもしれない。
まだ何かされたわけではないし、北村君を呼ぶわけにはいかない。どうすればいいの?
そう思ったら、別の部屋から声が聞こえた。
「私たちに謝ってよ。裏切ってごめんなさいって」
三島さんの声だろうか。
「誰があんたなんかに」
沙織だ。
「沙織!」
私が叫んだら、山田さんが言った。
「ほら、今の誰だと思う?」
「まさか愛唯!」
もしかして、沙織に知らしめるためにわざと私に聞こえるように言ったのだろうか。反射的に叫ぶんじゃなかったと後悔しても遅かった。
「あんたたち、愛唯に何したの?」
まだ何もされてないのに、答えた方がいいのか迷っていたら、三島さんが言った。
「今はまだ閉じ込めてるだけ。でも、言うこと聞かないなら、何するかわかんないよ」
私のせいで沙織がやばいと思って、気づいたら叫んでいた。
「私は大丈夫だから、沙織、気にしないで」
「そんな強がりもいつまでもつかしらね」
「愛唯に手を出したら絶対許さないから!」
ああ、沙織。どうしよう。私のせいで沙織が……。
「あんたの心がけ次第って言ってるでしょ」
バシッと叩いたような音が聞こえた。まさか殴られたんじゃ。
「沙織、大丈夫?」
「うるさい。あんたは黙ってろ」
山田さんが言ったら、また男が部屋に入ってきて、私の口をタオルで縛ってきた。腕が縛られていて、抵抗もできなかった。
「ぐぐぐぐぐぐ」
声が出せない。
「愛唯に何したの?」
「うるさいから黙らせたんだよ」
「ぐぬぬ」
やっぱり声が出せない。これじゃ大丈夫だって沙織に伝えられない。
「何でもするからやめて!」
沙織やめて! と叫びたかった。これじゃ足手まといにしかなってないじゃない。北村君たちはどうしたんだろう。早く沙織を助けないと。
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