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「口挟んでいい? 多分次なんてないと思うよ」
北村君が言った。
「今までの全部録音してあるから」
「え?」
私は聞き返した。
「愛唯ちゃん、防犯ブザーどこやった?」
何で今その話が出てくるんだろう。
「それがどうかしたの?」
「そっから全部聞こえてた」
「嘘」
まさかそのために私に渡したの? 全然気付かなかった。だから、北村君私がピンチなの気付いたんだ。
「ちょっとあっち向いて」
「へ?」
「いいから」
大人しく向いてくれてるうちにパンツから出した。
「はい。返す」
防犯ブザーを北村君に渡した。
「どこ入れてたの?」
「どこだっていいでしょ」
私は冬場はパンツを2枚履いていて、2枚目のパンツの中に入れてたから別に汚くない。でも、言いたくはなかった。
「ま、いいけど」
北村君は2人に向き直った。
「ゴホン。とにかく、証拠は掴んでんの。今から警察呼ぼうか?」
「ひっ」
「た、助けて」
そんなの助けるわけないじゃんと思ったけど。
「警察は呼ばなくていい」
「沙織!」
「こいつら反省してないけど」
北村君も言った。
「わかってるわ。別に許したわけじゃない。今回だけは見逃すだけよ。今回だけはね」
沙織の顔が怖い。
「次に何かした時が楽しみ。どうやって地獄に送ってやろうかしら」
「ひっ」
「なっ。するわけ」
「あんたたちが反省するわけないなんて、知ってたもん。別にいいの。私、この手は使いたくなかったんだけど」
沙織が変なことを言い出した。
「私のこと溺愛してるおじいちゃんがいるのよね。この顔あんたたちにやられたって言ったらどういう反応するかしら?」
「どういうこと?」
私は気になって聞いてみた。
「カタギじゃないの。そのおじいちゃん」
「ま、まさかあの……」
「げっ」
2人の表情が変わった。もしかしてこのこと知ってたんだろうか。
「どうすんの?」
「し、しません」
「ゆ、許して」
「ま、いいわ。もう本当に開放していいわよ」
羽山君は2人を放した。2人は逃げるように部屋を出て行った。私はただ呆然としていた。
「それ、ホント?」
「うん。でも、おじいちゃんって本当の祖父じゃないわよ」
「え?」
「遠い親戚のおじいちゃん。でも、家系に女の子があまり生まれなくて、昔から私をかわいがってくれてるの」
色々あるんだなと私は深く触れないことにした。
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