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「ぱぱー、これみて!」
合流してすぐ、凜は手に持っていたものを和之に見せた。待っている間ずっとニコニコしながら眺めていた物。まさか、こんなに気に入ってくれるとは。
「お、公衆電話なんて久しぶりに見たなぁ。それに小さいのによく出来てる。どうしたんだ、これ?」
「がちゃがちゃやったの! ごほうびだって」
「ご褒美?」
凜が実家にかけたいと言ったことで、和之の番号を母から教えてもらうことが出来た。小さい頃から「家の電話番号だけは覚えておきなさい」と言われていたおかげ。
お礼にお菓子を買うはずが、途中にあったカプセルトイコーナーでねだられ今に至る。高くて滅多にやらせてあげなかったから、こんなに喜んでいるのかも。
「うん! まーくみつけたのと、でんわかけたいっていったごほうび!」
「そっか、偉かったな。ママにお願いすれば、もう一回やらせてくれるかもしれないぞ?」
和之が意地悪そうな顔して私を見る。
百円で電話をかけるとお釣りが出なかったから、待ってる場所を伝えたあと切れるまで凜に話をさせていたことが裏目に出た。
「ほんと!? きょうはいいひだなー」
「はは、いい日か。それは良かったなぁ。パパ、子供の頃テレフォンカード集めてたんだぞ。どこかにあるはずだから探してみるか。見つけたら凜にやるからな」
散々な日だと思っていたけれど、凜が喜んでいる姿を見て気持ちが救われた。結果的に合流出来たし、公衆電話のある場所も覚えたから悪くなかったのかもしれない。
「ほら、そろそろご飯食べに行こう。凜の大好きなお子様セットが待ってるよ。ガチャガチャやりたかったら、今度はパパにおねがいしてね」
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