比丘尼

1/1

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

比丘尼

その女達はと呼ばれていた。 教祖は言う 「この身体は泡沫の現世を生きる入れ物に過ぎない。 故に汚れたと感じたなら禊を行えばいい… それ以上でもそれ以下でもない。」 リンの村は貧しかった。 武装集団が略奪の為に村を襲い人が死ぬ事もある、 豊かで安全な都市部で働くには学歴が必要だったが、学校に行くには高額な学費が必要だった。 リンは兄弟の学費を稼ぐ為に、この国に来ていた。 リンは不法就労している所を暴力団に捕まり違法風俗店で無理矢理、働かされていた。 そんな折に、その暴力団組織と揉めていた、伊藤達と呼ばれる人達に拾われる… 初めて教祖にあった日、リンは驚いた 教祖は自分と、ほとんど年齢が変わらないように見えたからだ… 異国の血が入っているのか左眼は青色をしていた。 「色々と苦労したようだね…」 落ち着いた風格はとても同年代には見えなかった。 「とりあえずで疲れを癒やしなさい… 楽園には何でも揃っているから、どうするかはそれから考えればいい。 家への仕送りはコチラで立て替えておくから心配しなくていい。」 私は泣き出してしまった。 この国に来て、こんな優しい言葉をかけてもらったのは初めてだったからだ。 日々の差別と暴力と侮蔑、卑猥な言葉が私の体と精神を蝕んでいた。 「リン、先の事は考えちゃいけないよ 決められた目の前の事をひとつずつ片付けるんだ… 先の事は私が考えている、何も心配する事はない。」 教祖はそういうと微笑んだ。 鼠達は今日も忠実に教祖のいいつけを守り陰に日向に私達を守ってくれている。 だから私はを辞め になる道を選んだ 教祖を支える為 私のような人間を助ける為。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加