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町田達はココでと呼ばれていた。 3年前に初めてココに連れて来られた時、まるで昭和前期の農村のようだと思った それがの第一印象だった。 ほぼ外界と遮断された村は、斜面に棚田が広がり建物は古民家風に統一されていた。 超リアルなテーマパークのようだと感動すら覚えたのを今でも忘れない。 今から14年程前に伊藤の所属する宗教団体が廃村を丸ごと買取った。 平家の落武者のごとくひっそりと住み着き自給自足の生活を始めたのが(楽園)の始まりだという。 当初は自分達が食べるために有機野菜の栽培をしていたが、今では野菜を通信販売で売り出し利益を得るようにまでなっていた。 また教団は(下界)で飲食店の経営も行なっている。 伊藤が班長を務める達は 楽園への人の出入り管理と飲食店の業務管理を行なっていた。 そこまでは誰もが知る(鼠)の表向きの顔だった。 (鼠)はその他に一般信者の知らない仕事を抱えている…
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