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秘密
「面倒くせー」
中村アキは無意識にいつもの口癖を呟いた
連絡先を聞いたその日の夜に、月子と
水族館に行く約束をした。
緊張しすぎて、何をどうやって話したかも覚えていない。
昼間、連絡先を聞いた時のように挙動不審感は否めなかっただろう。それでも約束は取り付けた
よくやった自分
なんとか水族館に行く日にちと時間、待ち合わせ場所を決めた。
月子は申し出は受けたものの、終始
ウンと そうなんだ を繰り返した。
断るのも面倒だったのだろうか?と不安になった。
月子らしいといえばそうなのだが…
まだ約束の日まで数日あった。
この調子だと、きっと当日に何を話したらいいかわからないだろう。
少しでも月子と共通の話題がないか知りたくて、月子と同じ女子校に通う仲の良かった同級生に連絡を取ることにした。
[久しぶりー 少し聞きたい事があるんだけどいい?]
[おお〜久しぶり どうした?
ていうか事故に遭ったて聞いてたんだけど大丈夫?]
[あんまり大丈夫じゃないw
とりあえず生きてるよ]
たぶん彼女は人伝に今のアキの状態を知っているのだろう。
[ソッチの学校に水上月子っていう生徒がいると思うんだけど、どんな子か知ってる?]
彼女は猫がニヤニヤしているスタンプを送ってきた。
[知り合いに頼まれたんだよ]
[その娘3年生じゃないね
部活の後輩に聞いて見るからちょっと待ってて]
暫くするとまた着信があった。
画面の犬のスタンプが
お待たせしました といっている
[月子ちゃん可愛いすぎて笑った
ウチの2年生の書道部らしい
なんかよくわからんが、ミステリアス
系な美人?だって]
陸上で全国に出たような選手が書道部?
彼女も怪我でもしたのか? 何か引っかかる。
[彼女はどこの中学出身なの?]
[そうそう彼女、県外の中学出身で高校からコッチに引っ越してきたんだって]
[前は陸上やってたみたいなんだけど、そんな話は出なかった?]
[んー そんな話は出なかったなー
ちょっと不思議ちゃんだけど、凄く気の利く良い子だって後輩は言ってた]
また猫がニヤニヤしているスタンプが送られてくる。
[知り合いに言っとく ありがとう]
[おう 今度またみんなで遊びに行こうねー]
今度は猫が 頑張れ と言っているスタンプが送られてきた。
連絡を終わろうとした時、またメッセージが届いた。
[そういえば、月子ちゃんに関してデマを流している人間がいるから、信じちゃダメだって後輩が言ってた…
そんな娘じゃないからって。」
[デマって?]
[月子ちゃんが中学の時、先生と付き合っていたっていう噂…
美人は妬まれるように出来てるのよ]
[了解]
と送り返すと、今度はウサギが手を振ってるスタンプが返ってきた。
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