愚者

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愚者

伊藤に連れてこられた ソレはソフトな刑務所のような場所だった。 朝は5時に起き、禊と呼ばれる入浴を行う。  そこから1日が始まる。 村には露天風呂まで付いている入浴施設がある。 禊の後は自分の部屋の清掃や各自に割り当てられた雑用を行い、8時に朝食となる。 9時から12時まで農作業 昼食を挟み 13時から17時まで農作業 17時からは映像での教祖の講話があり その後は夕飯と入浴、自由時間となる。 村の外には原則出られない。 ひと月程が過ぎた頃、珍しく伊藤が声をかけてきた。 伊藤をたまに遠くから見かける事はあったがココには、ほとんど姿を現す事が無かったからだ… 「おう どうだココの生活には慣れたか?」 相変わらず酒焼けしたダミ声でカタギの人間には見えない。 「何かもっと修行みたいな事をするかと思っていたんですが… 以外と普通で驚いてます。」 「禁欲的な規則正しい生活をおくるのがココの基本だ。 出るのは自由だが一度出ると戻れない まぁたまに、問題起こして追放される奴もいるけどな。 酒も煙草も禁止なんて俺には絶対に無理だ… お前は今暫くココで大人しくしていろ ココなら飢える事も 寒さに震える事もない   襲われる事も無い 代わりに自由も無いけどな… どちらがいいかはお前次第だ」 伊藤は一方的にまくしたてると、去って行った。 ココにいる人達はと呼ばれていた。 愚者は何も考えては行けない… 指示されるまま、ひたすら体を動かす。 教祖は言う。 愚者が考える事は愚かだと 愚者には上も下もない 何故ならば皆んな愚者だからだ まずは何も考えず体と心を浄めよ さすれば自ずと道は開かれると…
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