永遠の獄

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永遠の獄

「貴方は生き続けなさい…永遠に」 アヤメはそう言うと静かに目を閉じた。 この夢の最後はいつもこの場面で終わる 長い夢を見ていた。 私が目を覚ますと横に執事の奥村が立っていた。 「お目覚めですか?青山様」 「ああ  また帰ってきてしまった…」 身体が怠く話すのも億劫だった。 「アレから何年が経った?」 「3年と8ヶ月です。」 以前より白髪が増えた奥村は、少し興奮気味に答えた。  「そのお身体は長男の渡様のものです。 1週間前に兆しが現れて、3日前から昏睡状態でした。」 「そうか…」 複雑な思いで青山は報告を聞いた。 もし人に魂というものが存在しているなら、身体という器を私によって奪われた渡の魂は何処に行ってしまうのだろう? 「3年前に何が起きたのですか? 私には教祖の行動が信じられません。」 奥村は神妙な面持ちで私に尋ねた。 「巫女の仁科芙美にはテンプテーション《魅惑》の能力があったらしい」 私は当時を思い出して顔を歪めた。 完全に私の失態だった。 「傾国の美女だよ… 彼女自身もその事を知らなかったみたいだな。 まだ13歳だったのだから当然だ… 結局、私は彼女を救うどころか大きく損なってしまった。 彼女も周りの人間も…」 私は自身の無力さに力なく苦笑した。 奥村が私の話をどれだけ理解出来たかはわからなかったが、彼はただじっと私の話を聞いていた。 「奥村にも迷惑をかけてしまったな」 「青山様が亡くなられてからは教団の規模は以前の1割まで減少しました… 私は何も出来ていません。」 奥村は俯いて答える。 「そんな事はどうでもいい…  よくやってくれた。」 「まだお戻りになったばかりです 今暫くお休み下さい。」 そう言い残し奥村は部屋から出ていった。 何度生まれ変わっても失敗ばかりだった 私には転生など必要ないのに… アヤメの顔が浮かぶ この力はアヤメからの恩寵なのか、呪いだったのか私には今でも分からなかった 私はまるで牢獄にいるようだと思った。 自分では途中で止める事も出来ずに 檻の中で終わる事のない芝居を必死に演じていた。 そして今日もあの日のように 窓の外では秋の細かな雨が音もなく降りしきっている。
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