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「逆に、絶対にいっしょに行きたくないやつならいるけど」
「え、意外。まいまいにもそういう人とかいるんだ。だれだれ?」
無意識に小声になって、聞き返す。
教室はがやがやしていて、わたしたちが少し騒いだところで、何を話しているかまでばれる心配はなさそうだった。
各班長のくじ引きは終わったらしく、今はあみだの答え合わせが進んでいる。
わたしたちも人のことは言えないけど、ちゃんと聞いている人は半分くらいだ。
自分たちが組む相手を知って、はしゃぐ子もいれば、苦い顔の子もいる。
修学旅行の班決めというふわふわした空気に、さしものはっしーも諦め顔で、淡々とあみだをひも解く役割に集中していた。
わたしも結果は気になったけど、まいまいが絶対にいっしょに行きたくない相手を聞き出す方が、後で黒板を見ればわかるあみだの結果より、よっぽど魅力的だった。
「陽斗と一樹。なっつんも同じかなって思ってたけど、そうでもない?」
「うそ、全然だよ。普通に仲良くない? 小学校から同じだしさ」
陽斗と一樹は、わたしでも普通にしゃべれる数少ない男子だ。
それこそ昔は、よくいっしょに遊んだりもしていたし、今でも仲はいいとわたしは思っている。
「だからこそだよ。このクラスで私たちの黒歴史知ってるの、あの二人くらいでしょ」
「それはそうだね」
「しかも、絶妙にタイミング悪いんだよね」
「陽斗とか、空気読まずにぽんと言っちゃうっていうか、自由すぎなとこあるもんね」
言いながら、陽斗と一樹をなんとなく探してみると、ちょうど陽斗と目があってしまった。
「なんか、二人でこっち来るね。聞かれてたかな?」
「それはないでしょ。でも嫌な予感してきた」
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