1.再結成

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「逆に、絶対にいっしょに行きたくないやつならいるけど」 「え、意外。まいまいにもそういう人とかいるんだ。だれだれ?」  無意識に小声になって、聞き返す。  教室はがやがやしていて、わたしたちが少し騒いだところで、何を話しているかまでばれる心配はなさそうだった。  各班長のくじ引きは終わったらしく、今はあみだの答え合わせが進んでいる。  わたしたちも人のことは言えないけど、ちゃんと聞いている人は半分くらいだ。  自分たちが組む相手を知って、はしゃぐ子もいれば、苦い顔の子もいる。  修学旅行の班決めというふわふわした空気に、さしものはっしーも諦め顔で、淡々とあみだをひも解く役割に集中していた。  わたしも結果は気になったけど、まいまいが絶対にいっしょに行きたくない相手を聞き出す方が、後で黒板を見ればわかるあみだの結果より、よっぽど魅力的だった。 「陽斗(はると)一樹(かずき)。なっつんも同じかなって思ってたけど、そうでもない?」 「うそ、全然だよ。普通に仲良くない? 小学校から同じだしさ」  陽斗と一樹は、わたしでも普通にしゃべれる数少ない男子だ。  それこそ昔は、よくいっしょに遊んだりもしていたし、今でも仲はいいとわたしは思っている。 「だからこそだよ。このクラスで私たちの黒歴史知ってるの、あの二人くらいでしょ」 「それはそうだね」 「しかも、絶妙にタイミング悪いんだよね」 「陽斗とか、空気読まずにぽんと言っちゃうっていうか、自由すぎなとこあるもんね」  言いながら、陽斗と一樹をなんとなく探してみると、ちょうど陽斗と目があってしまった。 「なんか、二人でこっち来るね。聞かれてたかな?」 「それはないでしょ。でも嫌な予感してきた」
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