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陽斗と一樹は、くすくす笑うわたしと、仏頂面のまいまいのところへ、騒がしさをかきわけてなんだかのんびりやってきた。
「まさかの須賀と宮本か」
背の高い陽斗が、わたしたちを見下ろすように正面に立ち、にっと笑った。
がっしりしていて、手足が長い。言葉遣いが乱暴なので賛否両論はあるものの、一部の女子には人気がある。
彫りが深いというか、はっきりして整った顔なので、わからなくはないかなと思う。
「なんか久しぶりだよね、この四人。よろしく」
へらりと笑った一樹も背は高いけど、陽斗ほどがっしりした感じはしない。
一樹は、声がいいとか、しゃべり方がほどよく優しいとかで、こちらも一部の女子に人気がある。
飄々としていて、たまに何を考えているのかわからないことをさらっと言ったりするのだけど、またそこがいいのだそうだ。こちらは、わたしにはちょっとよくわからない。
背伸びをして黒板を確認していたまいまいが、諦めたように座りなおして、二人を見上げた。
「本当、まさかだよね。ちょうどあんたたちの話してたところで、同じ班とか」
「そりゃ嬉しい」
「絶対いっしょに行きたくないねって言ってたんですけど」
「なにそれ、つら」
腕組みをするまいまいも、おおげさに驚いてみせる陽斗も、表情はやわらかい。
この感じなら、それこそ小学校の頃みたいに、楽しくなりそうだ。
「せっかくの勇者パーティ再結成なんだし、仲良くやろうぜ」
そう思ったのも束の間だった。
クラスではこの二人しか知らない、わたしたちの黒歴史。
それをまさしくピンポイントで、陽斗が無邪気に踏み抜いた。
こういうところだよね。わたしはまいまいと顔を見合わせて、苦い顔をした。
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