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「あー、ちょっとぉ」
「わふっ!」
次の瞬間、あたしは床の上。
「君はあっちでしょ」
「あー!姉ちゃんずるい!おれもそこがいい」
「わたしもー!にいには昨日そこでゲームしてたじゃん!」
「早いもの勝ちですうー」
「ちょっと、ケンカはやめて」
「順番に座れよ」
みんなが入ってきて、途端に騒がしくなったリビング。
スマホ片手にくつろぐお姉ちゃんを、むむっとにらむあたしたち。
お父さんお母さんは呆れた目で見てる。
お姉ちゃんにあっち、と言われた場所には、丸まって寝るにはちょうどいいクッション。
ちょっとフワッとしてるだけの小さいのなんかじゃ、あたしはもう我慢できないっていうのに。
お日様のあたる草原みたいな緑の上で、お姫様のように優雅に横たわりたいの。
あたしの体を丸ごと包み込んでもまだまだ広くて、ゆったりとしたあのフォルムがいいの。
もう、こうなったら、このうるうるおめめでおねだりするっきゃない!
そう
大きなあなたはM・B・クッション
家族にM・B・クッション
いつか 絶対に
あのM・B・クッションを手に入れてやるんだ
わん!
その後。
クッションに座る者をきゅるんと潤んだ瞳で見るチワワの圧力に抗えず、家族は早々に降参した。
そしてリビングにもう一つ、M・B・クッションがやってきましたとさ。
おしまい!
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