Vol.2

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Vol.2

 私は、おっさんから貰った5万円を握り締め、ネットカフェへ向かった。今夜もここに泊まる。  何故なら、家に帰りたくないからだ。家には母の彼氏が居候していて、いつも二人でイチャイチャしている。自分の母親が男に甘えている姿なんて見たくない。時には喘ぐ声だって聞こえてくるのだ。ただただ吐き気が止まらない。  ネットカフェで一晩過ごし、ここから学校へ通う。ほとんど毎日これだ。  学校には友達はいない。友達の作り方を知らない。人との接し方も知らない。友達を欲しいとも思わない。  初めての環境では、たくさんの人が話し掛けてくれる。しかし、仲が深まるにつれて、私はつい自分と周囲を比べてしまう。不幸な私と対称的な人を見つけると、妬み、憎しみが生まれ、攻撃したくなる。幼い頃からそうだった。そもそも、他人を攻撃することは本当に悪いことなのか?攻撃したっていいじゃない、何が悪いの?そんな風にしか思えない私だった。  私は、どこか欠けている。  私には、何かが足りない。何かが不足しているのだ。それは自分でも自覚はしている。  気付けば私の周りには誰も居なくなっている。居場所がなくなっているのだ。  こんな私でも、今日もおっさんたちは私を求めてやって来る。中には、“ 羅夢ちゃんじゃなきゃダメ “ 、” 羅夢ちゃんが一番 ” 、そう言ってくれるおっさんもいる。気持ち悪さの狭間に、愛おしさもあるのだ。  自分の存在価値を見出すために、このビジネスを続けているのかもしれない。  私を認めて欲しい。私に興味を持って欲しい。承認欲求が滝のように溢れ出る。  どんな形だろうと、私を必要としてくれる人がいるのなら、それで幸せ。  私の人生、こんなもん。
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