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Vol.4
私は待ち合わせ場所で、スマホを片手に上原さんを待った。どんな若僧がくるのだろう…どこか少しワクワクしていた。
約束の時間まであと5分と迫ったその時、
同じクラスの高崎大雅が向こうから歩いてきた。
ヤバい。こんな姿を見られる訳にはいかない。バレないようにと、私は高崎の方に背を向けて姿を隠した。
高崎は私の前を通り過ぎた。良かったー…と私はホッとして、またくるりと体の向きを変えた。スマホをチェックし、今日の客を待った。
「おい!」
私の腕を強く掴み、大きな声で私を呼んだ男性。これが今日の客か?私はスマホから目を外し、顔を上げた。
高崎だった。
「お前、谷本好美だろ?何やってんだよ!」
マズい。気付かれたか…。でも私はしらを切った。
「あの、人違いじゃないですか?」
「ふざけんな!こんなとこで何してんだよ!クラスみんな知ってんだぞ。お前が毎日オヤジと会って変なことしてるって。」
もうダメだ。私は開き直ることに決めた。
「変なこととは何よ!変じゃないから!これはビジネス。私は毎日これをしてないと生きていけないの。アンタになんか関係ないでしょ。ほっといて。」
私は高崎に背を向けた。
しかし高崎はまた私の前に立った。
「お前、今、上原ってヤツ待ってたんだろ?」
えっ……?
どうして知ってるの?
「あ、アンタに関係ないでしょ。」
「その上原って、俺だから。」
うそ……。何で……?
「は?アンタそんなにヤリたい訳?っつーか、5万円払えんの?羅夢の正体が私だと知ってて予約したの?」
「ああ、知ってて予約した。そんでお前のパパ活辞めさせに来た。」
パパ活辞めさせる?高崎が何で…?
「アンタに何と言われようと私は辞めない。言ったでしょ?私はこれをしてないと生きていけないんだって。邪魔しないで。」
私は高崎を睨んだ。
「それではお客様、今日の予約はキャンセルということで。」
そう言って私はその場を立ち去ろうとした。
高崎は私の腕を強く掴んで私を引き止めた。
「馬鹿にすんな。俺は今日の客だぞ。ちゃんと責任持って最後まで俺の相手しろよ。」
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