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Vol.5
高崎は私の腕を引っ張り、ホテル街へと向かった。
「やっ、やめて!」
「お前、ビジネスなんだろ?だったらいいだろ?」
私は、言い返す言葉が何もなかった。
ホテルを目の前にし、高崎は制服のブレザーを脱いだ。
「お前も脱げ。学校特定されたらマズいだろ。」
高崎は誰かに見られることを想定していた。それは、自分を守るため?それとも……
私を守るため……?
ブレザーを脱ぎ、ネクタイを外した私たちはそのままラブホテルへ入った。
チェックインし、部屋へ入るや否や、高崎は私の腕を強く引っ張り、ベッドへ叩きつけるように私を横たえた。
すぐに高崎は私の上にまたがり、乱暴にシャツのボタンを外した。
「やっ…、やめて!やだっ!」
高崎は私の両手首を掴み、私をじっと見つめた。
「は?見知らぬオヤジとは平気でこんなこと出来るのに、俺とは出来ねーっつーの?ビジネスなんじゃねーのかよ。」
私はまた何も言い返せなかった。
「そんなにイヤなら、もう辞めちまえ。分かったか?さ、帰るぞ。」
高崎は私の上から降りた。
しかし、何故か私の変なプライドが、それを許さなかった。
私は高崎の腕を掴んだ。
「分かった。最後までお相手します。シャワーどうぞ。」
高崎はどこか少し不貞腐れたような表情で、ガラス張りのシャワールームへ向かった。
あいつだって、いつものおっさんたちと同じ。私は自分にそう言い聞かせた。
シャワーを終えた高崎は、バスローブを身に纏って現れた。私はビジネスの声を掛けた。
「私もシャワーしてきます。そしたらあとはお好きなようにどうぞ。ただ、当店はアブノーマルなプレイはお断りしておりますのでご了承ください。」
そして私もガラス張りのシャワールームへ向かった。ウィッグを外し、メイクも全て落とし、全身キレイさっぱり洗い流した。
私はすっぴんのまま、バスローブを身に纏って高崎の隣に座った。
「ぬくもりレンタル開始です。どうぞ。」
高崎は、黙って私をひたすら見つめた。ただ、ずっと…。
正直、私は動揺した。
「いいんだよね?本番行為まで希望なんでしょ?どうしたの?今さら怖じ気づいたっていうの?それとも、私のすっぴんにがっかりして、ヤる気失せた?冗談じゃないわよ、そっちが望んだこと…」
全て言い終わらないうちに、高崎は私に口づけた。
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