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Vol.7
それから二人で共に絶頂に達し、事は済んだ。
息が乱れた高崎は、ゆっくりと私の髪を撫で、優しくキスをした。
「ゴメン…。ホントはこんなことするつもりじゃなかったんだけど…。キスの後のお前の表情が、トロンとしててあまりにも可愛かったから、つい歯止めがきかなくなっちまった。パパ活辞めさせるだけのはずだったのに、逆にお前を傷付けちまったな…。」
「ううん、私、全然傷付いてないから。それより…、私を抱いたこと、後悔してるの?」
「いや、それはない。傷付いてないなら良かった。ゴメンな。」
「謝らないで、高崎…。」
気付いたら、私は高崎にキスをしていた。
えっ……?何で……?
私、どうしちゃったんだろう……?
高崎は制服を着て、私に5万円を手渡した。
「はい、これ。これでパパ活辞めてくれるか?」
いつもなら、私が生きる為にありがたく頂戴するレンタル料。でも、高崎に突き出された5万円はどこか冷たく、受け取る気にはなれなかった。
「要らない。」
「えっ?お前まだ辞めないつもり?これじゃ足りねーのかよ。…ったく、いくらあったら辞めてくれるんだよ。」
私は…
お金が欲しい訳じゃない。
やっと分かった。
愛が欲しいんだ…。
私の目から涙が溢れた。
「高崎…、傍に居てほしい。」
「えっ…?」
「高崎が傍に居てくれたら、私はそれでいい。ダメ?」
高崎は、私を強く抱き締めた。
「分かった。谷本の傍にいるから。もうパパ活なんてするな。辞めろよ。もっと自分大事にしろよ。」
高崎のぬくもりは、めちゃくちゃ温かかった。私は初めて人の優しさに包まれて、余計に涙が溢れた。
全力で私のパパ活を辞めさせようとしてくれた高崎の気持ちに、感動した。
生まれて初めて、感動という感情に出会った私だった。
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