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二杯目の食べっぷりも痛快だった。鶏や水団を凄まじいばかりの勢いでばくばく食べていき、たんぽぽを口いっぱいに詰めこんでもしゃもしゃ咀嚼した。
「うまうま、あつあつ」
私は火傷を心配してゆっくり食べるよう促したが、沙代の食欲は火傷ごときなんのそのだ。大皿の中身をどんどん平らげていき、汁もきっちり飲み干した。
やっぱり最後に、こりゃ旨い、と口にした。
私が一杯目をちまちま食べているあいだに、沙代は三杯目の大皿を平らげていった。この細っそりとした華奢な身体のどこに、これだけ食す許容があるのだろうか。
あれよあれよという間に五杯目まで食べ終わったとき、沙代の腹はもうはち切れんばかりだった。西瓜を丸呑みしたかのように膨らんでいる。
「ふう、食った食った。しあわせえ……」
沙代はうっとりとした表情を浮かべながら、ぱんぱんの腹を満足そうにさすった。
私はそれを見て気遣った。
「帯を緩めては?」
沙代の顔がきりりと一変する。
「いえ、親しき仲にも礼儀あり、なので」
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