蕗の薹、陰に咲く。

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二十年以上流れた歳月。 「これ、先生から預かってきた」 ハルちゃんは担任からの花を供えた。 担任はあれから困窮する学生に 気を配り、同窓会と無返済奨学金を 立ち上げるなどして、 今は、立派に校長を勤めていて、 ハルちゃんはそこで国語の教員。 「ウチのカーチャンが  詰めた弁当やで」 一度も夏美が使えなかった弁当箱を 墓石においた鈴子は 松堂さんの予想通り 「私、今日は運転せんからビール」 “立派な遊び人”。 無料相談会に励むワッコの胸には 弁護士の章がしっかりと。 そしてワッコの使い込んだ鞄、 そこには… 夏美の校章と、 あの日壊れた鈴子の校章が 入っていることを   ………私達は知っていた。           ー 了 ー
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