蕗の薹、陰に咲く。

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警察から夏美の“遺体”が 戻るまで…かなり時間を要した。 その間に、学校では 父兄に対する説明会などが 開かれて…  「風紀を乱したのだから   除籍すべき!娘が同じ   卒業アルバムに並ぶのも   不愉快だわ」 そんなことを言い出す父兄も。 日々流れる報道には 高崎先輩の警察での事情聴取も。  『後期の授業料に困っていた   夏美さんに声をかけて   誘ったのは二年前でした。   お昼ご飯も抜きにして   交通費を捻出していた彼女は   退学を親に迫られて   …私も似たような暮らしだから   彼女の気持ちは解りました。   子供の頃から憧れていた学校、   …やめるくらいなら…』 過熱する取材合戦… 玄関を出ただけで 週刊誌の記者が声を かけてくる始末…。 でも…一番悲しかったのは、 面白おかしく、知りもしないのに 夏美のことをベラベラと 記者に話した同級生のいたこと。 私達も知らなかった夏美の家庭…  「『お父さんは働いたり    働かなかったり、    パチスロばかりしてる。    お母さんは学歴もない人だから    パートの仕事がやっと。    到底ウチの学校に通える    ような暮らしなんかじゃない』」 週刊誌を破りながら泣く ハルちゃんにワッコは、   「泣いたらアカン!  これ、書かせた奴、  生徒会で吊るしたる!!」 全力疾走でホールへ。 そして大きく掲示板に書いた、  『死を笑う者を退学に!!』。  
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