蕗の薹、陰に咲く。

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生徒会長ワッコの追求で 親が金融業を営むAが浮上、 彼女の母親が“夏美除籍”の 先鋒隊だった。 「まず、バイト禁止で  夏美を学校が責めるなら  他人のプライバシーを売って  お金を貰ったAも校則違反で  停学にすべきだ」 ワッコの意見に賛同者も多く、 自分の身が危うくなったAが ある放課後、 生徒会室に怒鳴りこんできた。 「ホンマの話やん?!  新聞に載るような  悪いことした夏美が悪い!  お金もないのにここに    通うほうが悪いわ!  ここはセレブの来る学校、」 「何がセレブじゃ、ボケ!!  お前、夏美が美人やから  ヤッカンでたんやろ?!  お前なかなかのブッサイク  やからなあ、お前こそ  その容姿に高い鞄も化粧も  似合うもんか!!おまけに  お前、アホやん?  家庭教師に金ツッコんでも  “ビリビリビリちゃん”やん?  よお?なんとか返してみ?  ビリッケツのドブス!!」 噂には聞いていたケンカ慣れの 鈴子の挑発に、Aは 「よくもそんなっ!!」 鈴子に泣きながら飛びかかると 鈴子の校章が床に落ちて 金具が飛び散った。 「はい!先に殴ったのはあなた!  汚い手で触られた校章が  壊れましたね、器物損壊!  私の胸を突いたので傷害!  告訴します!!」 子供みたいな言い争いに 走ってきたのは担任、 このタイミングで Aは生徒会室を走り出た。 「なにを大声で…  喧嘩なんて…」 この若い女性教諭も卒業生で 貧困とは無縁の 大豪邸に住んでいた。           
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