54人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
二十年以上流れた歳月。
「これ、先生から預かってきた」
ハルちゃんは担任からの花を供えた。
担任はあれから困窮する学生に
気を配り、同窓会と無返済奨学金を
立ち上げるなどして、
今は、立派に校長を勤めていて、
ハルちゃんはそこで国語の教員。
「ウチのカーチャンが
詰めた弁当やで」
一度も夏美が使えなかった弁当箱を
墓石においた鈴子は
松堂さんの予想通り
「私、今日は運転せんからビール」
“立派な遊び人”。
無料相談会に励むワッコの胸には
弁護士の章がしっかりと。
そしてワッコの使い込んだ鞄、
そこには…
夏美の校章と、
あの日壊れた鈴子の校章が
入っていることを
………私達は知っていた。
ー 了 ー
最初のコメントを投稿しよう!