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大阪市内を抜け
生活する南大阪とは逆の
大阪郊外にある大学へ
三十前から勤めて十年近く。
慣れた通勤電車の中で
講義内容の確認のため、
本を開くのが常の私は、
英文学を教えている。
結婚はしていない、おそらく
今後も予定はないだろう。
両親には寂しい思いをさせるが、
「パリにしばらく」
妹が、夫の転勤で
「克史は、じぃじとばぁばと
一緒に居たいんだって」
一人息子を実家において一年…
これは充分な埋め合わせで、
両親は喜々として
孫の面倒をみている。
そのサポート的なつもりで、
側にいるのだけれど
（学校の友達の様子なんて
今朝は初めて聞いたかも？）
そう思ったと同時に
脳裏に蘇った金谷夏美は
高校の同級生だった。
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