蕗の薹、陰に咲く。

定刻通りに講義を終えて、

市内のデパートへ寄った。

父親の好きな塩パンと

頼まれていた

“ハイカラ”なサラダを購入。

今回はエビのフリッターに、

セロリやレタス、パプリカなどを

オーロラソースで和えたもの。

特に克史が好きというわけでは

ないのだけれど

　「ばーちゃんメニューだけでは
　　可哀想やない？」

…母親の気遣い。

気遣いついでに、母親は

私が買ってくる惣菜も

真似るのが上手で、

次からは

　「デパートよりばーちゃんの
　　作るほうが美味しい！」

…と、克史も気遣い。

豊富な食物を並べた

賑やかな夕餉の後、

両親と克史は愛犬と散歩へ

出掛けて行った。

洗い物をしながら、

また夏美を思い出していた。

（そうや…またそろそろ
　“集合メール”が来る季節）

年に一度…“夏美の所”へ

集まる日がやってくる…。