蕗の薹、陰に咲く。

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ペンケースも ブランドポーチを 代用するのが当時流行った。 私は使い勝手良い筆箱。  「ウチはじーちゃんが   いつまでも、私を   幼稚園児扱いやから」 と、鈴子が持っていたのは ファンシー文具メーカーの代表品、 “キティラー”なんて言葉は 鈴子のためにあるようなくらい 持ち物の殆どが、 祖父母の揃えた猫のマーク。  「誕生日に買ってもらった」 ワッコとハルちゃんは 紫をテーマカラーにした ブランドポーチを大切にしていた。 特別裕福でなくても そのメーカーのポーチなら驚くような 値段ではない。 でも…  「アレは…Vのマークの   パリ限定じゃない?」 視線が夏美の机に乗った ブランドポーチに注がれた秋、 この頃から 夏美は私達と距離を置くように。 一際大人びた先輩グループと 行動することが増えていた。
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