蕗の薹、陰に咲く。

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もともと  「大学生?社会人?」 と、誤解される夏美の容姿は、 日を追う毎に美しく…  「私の顔の半分しか   ないんちゃう?」 ワッコが卑下してしまう小顔は しなやかな肢体に 似合い過ぎるくらい。 ファッション雑誌の人に、 街中で写真を撮られることも度々。 そして… 美しい夏美も ソレナリ十代の私達も 進学を決めなければならない 高三の年がやってきた。 国立クラスに入れた私達、 夏美はそのまま附属の大学へ 上がるような気配、  「できたら…アナウンサーに   なりたいねん。それには   ここの大学は局のOBも多いし、   …とにかく…あと四年…   あと四年頑張れば…」    そう言った夏美。 大人しか使わない Gのマークの金の口紅を 慣れた感じでひいていく 夏美の横顔は…… この一ヶ月後に起こる事件を 匂わせるような 妖しい憂いを漂わせていた。
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