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だけど──どうしてか。レモンパイを食べ終えると、それまで高揚していた気分が瞬時に落ち込み、あんなにも漲っていた力が風船に針を刺したかのようにぺしゃんこになってしまった。
「お嬢さま、確かに返却うけたまわりました。どうぞ、お帰りになってくださいませ」
「……返却……」
「ええ。『レンタルジャスティス☆メガネ』による、ジャスティス、つまり正義の返却でございます」
「……正義」
要するにわたしは『正義』をレンタルしたということなんだろうか。そう考えると辻褄があう。あの全身に漲っていた力の正体。それは正義だったのだ。
「お嬢さま、まことに僭越ながら申し上げます。正義というものは、ひとたび使い方を間違えると、ただのお節介や言葉の暴力に成り果てます。ですが、本当の正義とは一体なんでございましょうね? お嬢さまが正義のもとに行った行動は、もしかしたら──いえ、これ以上は慎みます。わたくしが言わずとも、結果はすぐにおわかりになるでしょうから」
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