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「あれ?」
いつもの帰り道。分厚いカーテンのひかれた古めかしい喫茶店は、ずっと前に閉店しており売りに出されていたはずだった。それなのにガラスのドアはぴかぴかに磨きあげられ、営業中の札がかかっている。相変わらず分厚いカーテンはひかれたままで中を覗き見ることはできないけれど。
入ってみようかな?
以前から気にはなっていたのだ。いかにも純喫茶といった感じのアンティークな外観。営業していたら絶対に入るのになあ、と。
コーヒーが大好きなわたしは、特に深くは考えず金色のドアレバーに手をかけた。
カランコロン……ドア上部に取り付けられたドアベルが軽快に鳴り、一瞬どきっと身をすくませる。すると奥からメイド服に身を包んだウェイトレスさんがやってきた。口紅がやけに赤い。
「いらっしゃいませ。ようこそ、レンタルショップへ」
「……え?」
今なんて? レンタルショップって言った?
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