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第33話 初夜に響く甘い声
「……っ」
まじまじと見つめられ、そこがひくん、と疼いた。
「まだ触ってないのになぁ……」
そのひとことで、自分の中心がそぼ濡れているのが分かってしまった。
だって仕方がない。欲しいものは欲しいのだから。
「触って……っ」
「ん、分かった」
刹那、蒼佑の指先が泉の泥濘に埋まった。くちゅり……と立った音が、重く濡れていることを伝えてくる。
「……っ、んっ」
あまり大きな声を出してしまってはいけないと、泉は握りこぶしで口元を押さえた。
「そうやって声を抑えてると、なんだかいけないことをしているみたいだな? でも耐えてる泉、すごく可愛い」
泉が堪えている姿を楽しんでいるのか、蒼佑はやたら嬉しそうだ。指先は蜜口をぐちぐちと弄びながら、声を弾ませている。
「んっ……ん、んん……っ」
きゅっと口元を引き結び、必死で声を漏らさないようにしていても、口内で声にならない音がするのは、もうどうしようもなくて。
気持ちよくて、頭の中が痺れる。
後から後からあふれる愛液を粘膜に馴染むように攪拌されて、両襞がひくんひくんと震えているのが、自分でも分かる。
蒼佑の濡れた指が、秘裂の上の芽粒に辿り着く。
「ひ……っ、あぁっ」
強い快感に、思わずくちびるが解けて色づいた声が上がってしまった。慌てて口元を覆うけれど、畳みかけるような愛撫に、喘ぐのを止められない。
「ぅ……んっ、あっ、あ……っ」
剥き出しになった花芯を押し潰されて、何度も何度も腰を跳ね上がらせて。
「泉の喘ぎ声……可愛い。もっと聞きたい」
呟くように話しかけた後、蒼佑は泉の泥濘を浚うように下から舐め上げた。
「あぁんっ、ゃ……っ、だ、めぇ……っ、ゆ……が……っ、あんっ」
こんな甘ったるくていやらしい声……佑に聞かれてしまったらと思うと、羞恥で全身が熱くなってしまう。まさかそれが快感を底上げするなんて。
見る間にゾクゾクと総毛立つ肌。湧き続けて止まらない蜜液。ひたすら昂ぶっていく身体の芯――全部全部、蒼佑によってもたらされる愛欲の証。
気持ちよくて、何も考えられない。
陰核を舌先で嬲られて、拉がれた瞬間、腰が大きく跳ね上がった。
「あぁっ……っう、んんっ」
波が過ぎ去ってもなお、震える身体をもてあまし、泉はくったりとしていた。
「……泉、まだ終わってないんだからな?」
力の抜けきった泉の肢体を見て、蒼佑が眉尻を下げる。泉はぼぅっとしながらも、ベッドサイドのナイトテーブルに置かれた避妊具を手に取る彼の所作を目で追う。視線に気づいたのか、蒼佑はにっこりと笑う。
「すぐに二人目を作ってもいいんだけど、とりあえずは結婚式が終わるまで待とうか。……ウェディングドレスが入らなくなると困るだろう?」
「ん……」
下ろされた下着の中から現れた屹立は、すでに十二分に兆していて、鞭のようにしなった。それを見た瞬間、泉の下腹部がひくりと疼く。ごくりと喉が鳴った。
「――早く欲しい、って顔してる」
避妊具を着け終えた蒼佑が、わずかに意地悪く目を細めた。
「うん……欲しい」
泉は蒼佑に向かって手を伸ばす。その手をそっと握った蒼佑は、手の平にくちびるを押しつけた。
「……やっと、泉の中に入れる」
壮絶な色気を孕んだまなざしに、泉の心臓がきゅっと締めつけられた。
蒼佑が泉の足を開き、身体を進め、秘部に熱い雄を押しつける。潤びたそこはすんなりと楔を迎え入れたように見えたが、あまりに久しぶりなので、やっぱり少し苦しかった。
「ん……っ」
隘路が蒼佑の肉塊でいっぱいになると、心まで何かで満たされた感覚がした。
「はー……やばい」
泉の下腹部に蒼佑の腰骨がひたりと当たった。身体を倒した蒼佑の胸板が、泉の乳嘴を刺激し、そこからまた甘さが湧いてくる。
「はぁ……」
屹立が中でびくんびくんと蠢くので、そのたびに微弱な快感がお腹の中で広がっていく。
「泉の中……気持ちいい」
蒼佑の腰がゆるゆると動き出すと、快感はすぐに大きくなって泉の神経を揺るがした。
「あっ、んっ」
じゅぷじゅぷと淫らな音を立てて行き来する男根は、泉の膣口を溶かしてしまいそうなほど熱い。
「泉……ありがとう。……俺を、受け入れてくれて。……愛してるよ」
「っ、んっ、わ、たしも……ありがとう。愛してる……っ」
時折、泉の子宮口を押し潰さんばかりに、蒼佑の切っ先が強く深く突き立てられる。そうなるともうダメだ。甘い悲鳴を上げてしまう。
「あぁんっ、ゃっ、ぅん……っ、あっ、あぁ……っ」
蒼佑が身体を起こし、泉の身体をひっくり返す。すぐさま後ろから捻じ込み、重なるようにぴったりと身体を合わせる。
小刻みに繰り出される律動が、あまりに気持ちよくて、泉は今度は啜り泣くように愛しい人の名前を呼んだ。
「ひっ……ぁふ……っん、そ、すけ……っぅん」
うつ伏せたまま、枕をぎゅっと掴んで。絶え間なく注がれる狂おしいほどの快感に、どっぷりと身を浸す。
この幸せがいつまでも続いてほしい――背中に甘いぬくもりを受けながら、泉は初夜の快楽に埋没していったのだった。
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次回、ようやく最終回です。
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