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思わぬ再会~side大河~
イベントの企画だのなんだのといった仕事をこなし、忙しく過ごすうちに、名も知らぬ彼女との出逢いから既に一週間ほど経ってしまった。
とはいえその間も夜に少しでも時間が出来れば例のコンビニエンスストアを訪れるというのがほぼ日課と化し、当たり前みたいになってしまった女々しい俺。
だけどタイミングが合わないのか、はたまたそもそも彼女が来ていないのかは分からないが、あれ以降一度もあの子とは会えていないというのが現状だ。
今日は日曜日だが、万が一トラブルが発生した時のため、婚カツパーティーのサポートの仕事が入っているからホテルの控え室にて待機中。
というのもうちのベテランスタッフの佐藤さんに、しつこく釘を刺されたせいである。
『桐生さん!今日は絶対に、表に出て来ないで下さいね?
あなたや遼河さんがいると、女性の皆さんがそわそわしてしまうから。
何かトラブルが起きたら呼びますから、それまではおとなしく、奥に引っ込んでいて下さい』
……あまりにも酷い、言われようである。
ちなみに桐生というのは、父方の氏だ。
両親は20年ほど前に離婚していて、その際まだ幼かった遼河は母親が親権を持つ事となったため、母と同じ早乙女姓を名乗っている。
俺は大金持ちというワケではないが、昨年東証一部に上場したばかりの『ハッピー・ブルーバード』の次期社長に若くして内定しており、自慢ではないが顔面偏差値も高めな方みたいなので、モテる。……非常に、モテる。
そのため特に何かサービスをしたというワケでもないのに、間もなくカップル成立かと皆から期待されていたお客様に惚れられ、意図したワケではないが破談にさせてしまった経験も、一度や二度じゃない。
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